2022 Fiscal Year Research-status Report
アジアの農村における資金調達及び活用手段の適切性に係る実証研究
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20K13496
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
増田 里香 帝京大学, 経済学部, 准教授 (50837391)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 農村金融 / 開発金融 / 資金調達 / マイクロファイナンス / 貧困問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はマイクロファイナンスにおける貯蓄の効果に特化した研究を土台として、大きく2点に絞られる。 1.どのような条件のもとであれば貯蓄が機能するのかを明らかにし、さらにその貯蓄を有効に活用して資本蓄積を加速させるにはどのような条件が必要であるのかを明確にすること。 2.地域社会(コミュニティ)という括りで小規模金融を捉えた場合、それらが社会全体に与える外部性について明らかにすることである。 研究計画は、途上国とアジアの貯蓄先進国である日本の農村部における、文献調査と古文書資料を中心とした調査研究の実施と大きく2点に分けて進めている。 まず、途上国については調査対象国となるスリランカの農村部についてCovid-19禍において渡航することが叶わずいたが年度末にあたる3月に渡航、調査対象地を訪問し次年度に実施する予定の事前調査を行うことができた。アジアの貯蓄先進国(日本)については、兵庫県播州地方の農村部で江戸末期に私札を発行していた豪農についての調査を実施している。同農家は播州平野の中にあり、当地は経済活動の要所のひとつであった可能性も伺える。同家の整理を行う過程で新たに古文書、特に金融活動に関するものが多く発見された。その経緯で両替商として活動していたことも判明している。古文書について市の学芸員様のご協力を得て、データベース化が完了した。 これらのことから最終年度を迎えるにあたり、十分な準備ができたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたスリランカ農村におけるフィールドワークをCovid-19等による渡航制限の影響もあり実施することは叶わず過ごしてきたが、年度の終わりに渡航することができ、現地の事前調査を実施することができた。これにより、現地の状況を把握することができ、最終年度に予定している現地調査の下準備が整った。また、平行して進めているアジアの貯蓄先進国(日本)の事例においては、研究対象とする村について、大変重要と考えられる金融活動の基礎となる古文書の目録が完成し、データベース化も整った。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はスリランカ農村におけるフィールドワークを実施予定である。現地ではこれまで実施した村の悉皆調査と同じ地域において、資金調達の状況を調査するべく再度、悉皆調査を実施する予定である。 平行して、兵庫県農村部における調査も継続の予定である。金融活動に関する古文書については金銭の貸借関係を明らかにすることに焦点をあてて進めていく。
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Causes of Carryover |
Covid-19禍において研究年度を1年延長したため。残額の主な使途はスリランカへの渡航費及び現地調査費となる。
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