2020 Fiscal Year Research-status Report
ドイツ内陸地域のグローバル化：18世紀ザクセン地方における海外輸入品の流通と消費
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20K13547
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| Research Institution | Rikkyo University |
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Principal Investigator |
菊池 雄太 立教大学, 経済学部, 准教授 (00735566)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 経済史 / 流通 / 消費 / 市場 / グローバル経済 / グローバル化 / ドイツ経済史 / 大西洋経済 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は，18世紀に西欧諸国を中心に進展したヨーロッパ経済のグローバル化，すなわちアジアやアメリカ大陸との経済関係の拡大と深化の中に，中欧ドイツ経済がいかに組み込まれていたのかを，内陸ザクセン地方における海外輸入品の流通と消費から，具体的・実証的に検討していくことである。
計画では，ドイツでの史料調査を行い，それに基づいた研究を進める予定であった。しかしコロナ禍によってそれは実現できなかった。そのため本年度の研究は，関連する二次文献を広範に収集し，批判し整理することが中心となった。研究の基盤となる一次ソースが新たに得られなかったことは大きな制約であったが，論点と研究史上の欠落点をより明確にすることができた。また，本課題の研究が開始される前に海外調査中に無作為に収集・スキャンした史料の整理と内容検討を行ったところ，本研究に関連するものを発見することができた。それらに基づき，以下の研究成果を得ることができた。
生産力や賃金などの観点から，内陸ザクセン地方は西欧的経済成長の傾向を見せていることが認められ，それは本研究が検証対象とする海外物産の流通と消費に深く関連していると考えられる。また，ザクセン地方における海外物産流入量の拡大は先行研究で明らかにされているが，どの地域に流通し消費されたのかは不明であった。上記のスキャン済み史料には，これに関する税徴収記録があった。その分析により，海外物産の流通・消費は基本的に貴族宮廷を中心としていたが，徐々に工業化地域における民衆の消費が拡大していたことが分かった。
本年度は，オンラインによる研究ネットワークの強化も図った。フランクフルト・オーデル大学のK. ヴェーバー教授と連携することになった。さらに，ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのセミナーで，ヴェーバー氏の報告に対するコメントを行った（2020年11月6日）。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記したように，コロナ禍により当初予定していた海外史料調査が実施できなかったため，研究の土台となる一次ソースを新たに得ることができなかった。それが大きな支障となり，進捗が遅れた。一方で，二次文献の精査と，すでにデータ化して所有していた史料群の中から，本研究に関連する部分を発見することができ，軌道修正をしつつある程度研究計画に沿った調査を進めることができたため，（４）の「遅れている」ではなく，（３）の「やや遅れている」であると判断される。
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| Strategy for Future Research Activity |
計画していた海外調査が実施できるかどうかは，新型コロナウイルス感染状況に左右されるため，現時点では不透明である。可能となり次第，実施に移したい。一方で，研究室でも実施可能な重要な研究内容を設定することができたため，当面はそちらに集中することになる。
すでにスキャンしてある史料群の中から発見された，本研究に関連する部分は，きわめて重要な情報を含んでいることが分かっている。今後はその分析を続け，海外輸入物産の流通を消費の状況を図上にマッピングする作業を進める。また，農村部における状況も明らかにする。史料分析と並行して，現在論文を執筆しているが，これは次年度上半期中に英文ジャーナルに投稿予定である。
また，18世紀に刊行された膨大なザクセン法令集を古書で発見し，購入することができた。そこには輸入海外物産の流通と消費に関わるさまざまな情報を含んでいるため，その調査を行う。
オンラインによる研究報告も予定している。2021年6月にはフランクフルト・オーデル大学主催のコロキウムで，11月には「西洋史研究会」で報告をする。
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Research Products
(3 results)
