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2020 Fiscal Year Research-status Report

ビジネス達成場面の従業員帰属行動モデルの再構築-国際比較の視点からー

Research Project

Project/Area Number 20K13567
Research InstitutionTsukuba Gakuin University

Principal Investigator

徐 毅菁  筑波学院大学, 経営情報学部, 助教 (30780283)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords失敗 / 帰属理論 / モチベーション / ダイバーシティ / 異文化経営
Outline of Annual Research Achievements

本研究は従業員がビジネス場面で失敗を経験した後のモチベーションの変化に焦点を当て、最終的に異文化背景に適用する新たな失敗要因帰属モデルの構築を目的とするものである。
令和2年度では、まずこれまでの先行研究をレビューしたうえ、国内で正社員として務めるホワイトカラー従業員を1対1の形でヒアリング調査を実施した。次に、収集されたデータに対し、グラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)手法に基づく分析を行った結果、ホワイトカラー従業員個人の異文化経験の有無、コスモポリタン志向、組織公正認知度並びに客観的な職場のダイバーシティ(個人の知覚した異質性)は合理的な帰属行動およびモチベーションの維持にプラスの影響をもたらすことが認められた。対して個人の異文化受容度、リスク選好、企業の評価システムは今回の調査では帰属行動との間に有意な相関が見られなかった。最後、理論研究のレビューとヒアリング調査の結論を踏まえて、ホワイトカラー従業員を対象とする帰属行動測定尺度を新たに構築した。なお、当該尺度を用いて構成されたアンケート調査の本調査は令和3年年度に実施する予定である。
本年度の研究において、最も大きな発見と言える点はダイバーシティと従業員個人のモチベーション維持の関係性に関するポジティブな見解の提示にある。近年、ダイバーシティとクリエティヴィティおよび生産性の関係はかなり注目されているが、とりわけ日本国内の実証研究はほぼ否定的な結果に終わってしまう。しかし、今回の調査では、異質性を知覚した従業員は明確な数字目標を好む特性や平均を上回る学習志向と自己効力感が観察され、その結果、明らかに自身に起因する失敗に対しても彼らが比較的望ましい対応ができたと考えられる。これは、従業員帰属行動のメカニズムの理論的な解明だけでなく、ビジネス現場における人材の採用・配置に有意義な示唆を与えることも期待できよう。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初は質問紙によるアンケート調査の本調査も年度内に完了させる予定であったが、現在次年度の6月の実施に予定変更となった。その影響でデータの分析や研究成果の公開も当初の計画より、おおよそ2ヶ月ほど遅れる見込みである。以上のことから、自己点検で「やや遅れている」と評価した。
提出された計画通りに進められなかった理由は2つある。
第一に、コロナ対策による現場が混乱し、ヒアリング調査協力者の確保に苦戦したことである。研究の着手時期に、あいにく新型コロナに対する第1回目の緊急事態宣言が発令された。それを受け多くの企業が勤務体制を改革し、本来予定していた協力者から「状況が落ち着いてから」との連絡が相次ぐ。結果、先行研究のレビューは概ね順調に進んでいたが、並行して実施する予定だったヒアリング調査は9月になってようやく1回目、そして翌年1月に2回目の調査を実施できた。
第二に、ヒアリング調査では、これまで看過していた異質性認知度(ダイバーシティ)が従業員の帰属行動に大きく左右することが分かった。先行研究では、筆者が調べた限りこの二つの変数の関係性に言及するものはなかった。そのため、これまでの理論的フレームワークの修正、ならびに納得のできる原因の説明にかなり時間を要した。

Strategy for Future Research Activity

まず本研究課題の遅れを取り戻すべく、または新型コロナ感染対策として、令和3年度中に日本国内で予定しているインタビュー調査・アンケート調査とともに、ネットでの実施を前向きに検討する。特にインタビュー調査をZoomで実施する場合のデータの完全性に十分留意しながら進めていく。それと同時に同じ対象の複数回調査実施や、情勢の変化に合わせて柔軟に実施方法を変更ないし併用するなど、できる限りデータの信憑性の担保に努める。
また、日本・中国・アメリカ三国の国際比較は本研究の主なる目的の一つである。本来、令和3年度では日本国内の調査結果をまとめたのち、中国及びアメリカの調査に着手する予定だったが、予想以上に長引く新型コロナの影響による各国の入・出国制限は、現地調査の大きな妨げとなっている。現在、コロナ情勢を注視しながら、一部の海外調査のインターネット経由での実施を検討しながら、対面で実施する必要性があるもの、または通信制限の関係でネットでの実施が困難な国や地域での調査について、令和4年度に遅らせるか、必要に応じて研究期間の延長の申請も視野に入れている。

Causes of Carryover

次年度使用額が生じた理由:①今年度より所属先が東海大学経営学部(熊本市)から筑波学院大学経営情報学部(つくば市)に変更することに伴い、予定していた打ち合わせ及び調査を目的とする東京への出張費用の支出がなくなった。②新型コロナの影響で研究が予定したスケジュールよりやや遅れてしまい、そのため学会への参加計画も次年度に順延したため、その分の旅費も未使用となった。
使用計画:現在の進捗状況を踏まえて、令和3年度に、①日本国内でのアンケート調査(予備調査・本調査)、並びに原因究明のために3回目のヒアリング調査の実施を全て完了させる。未使用旅費によって生じた次年度使用額は主に調査協力者への謝金に充填する予定である。また、②中国および米国における調査も並行して着手し、新型コロナの情勢を確認しながら先に本調査を行う国を決定し実行する。なお、もし令和3年度の下半期になってなお海外への渡航制限が解除されていないのであれば、事前の打ち合わせや予備調査を可能な限りインターネットを通じて済ませておく。そして③積極的に意見交換や成果発表のために国内学会に参加する。そのための資料作成費や参加費に当てる。

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Published: 2021-12-27  

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