2020 Fiscal Year Research-status Report
オンライン/オフライン環境のパスデータを用いた消費者購買行動のモデル開発
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20K13576
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
金子 雄太 同志社女子大学, 現代社会学部, 助教 (40770300)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | データ分析基盤 / 顧客動線データ / 購買履歴データ / 売上予測モデル / 状態空間モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の研究では(1)データ分析基盤の構築、(2)アイトラッキングデータ収集のための環境整備、(3)顧客動線データと購買履歴データに基づく売上予測モデルの開発の3つの内容に取り組み、今後の研究展開を見据えたデータ分析とモデル開発のための基盤を整えることができた。(1)データ分析基盤の構築では、オンライン/オフライン環境の各種のマーケティングデータを整理し、NysolやPythonで加工するためのプログラム開発を行った。(2)アイトラッキングデータ収集のための環境整備では、実験室環境を整えて解析用PCとアイトラッカーを同期させるための各種調整を実施した。(3)顧客動線データと購買履歴データに基づく売上予測モデルの開発では、顧客の売場訪問と売上データを結びつける状態空間モデルの構築と予測性能の高度化に取り組んだ。本提案の状態空間モデルは、売場訪問や休日効果などの説明変数が売上(目的変数)に与える影響の分析と区間推定に基づく未知データの挙動予測を同時に考慮するもので、MCMCの手法でパラメータを推定するベイズ統計モデルであるために、収束条件や変数選択の妥当性を検討しながらモデル開発を行った。スーパーマーケットの売上データは、規則的に変動する傾向が強いために、トレンド項と季節調整項のみを含むシンプルなモデルでも高い予測性能を発揮する。我々は顧客の売場訪問の効果をポアソン分布で状態空間モデルに組み込み、より高精度に売上変動を予測できるモデルを開発し、検証データの区間でMAEやMSEの指標がより小さくなることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、2020年度はデータ分析基盤の研究開発に従事する予定であったが、顧客動線データと購買履歴データについてはデータ融合型のモデル化を検討し、予測性能の高度化など具体的な成果を出すことができた。アイトラッキングやウェブクローリングのデータ取得は技術開発の段階で、2021年度も引き続き要素技術の開発を継続していく計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2020年度に整備したデータ分析基盤に基づいて消費者行動モデルを構築し、モデルの有効性を検証していく。また、引き続きオンライン/オフライン環境のパスデータ取得のための技術開発に取り組んでいく。消費者行動モデルの構築においては、パスデータをオンライン/オフラインの各環境下で体系化し、購買行動の目的変数に売場訪問や滞在時間、製品デザインなどの各要素が与える影響を分析する。並行して2020年度に構築した状態空間モデルに関する研究成果の発表にも取り組む。
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Causes of Carryover |
COVID-19によって対外発表や調査研究の機会が大幅に制限されたために、旅費や調査費用などの次年度使用額が生じた。
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