2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K13643
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡野 泰樹 北海道大学, 経済学研究院, 准教授 (10817505)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 統合報告 / 監査 / 保証 / 非財務情報 / 統合報告書 / サステナビリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、昨年度に引き続き、統合報告書の保証に関連した文献と公表されている統合報告書の保証報告書の収集・分析を進めるとともに、それらに基づく論文執筆に向けた準備を行なった。とりわけ今年度は、(1)職業会計士による先端的な保証事例の収集と、(2)統合報告書に対する保証モデルとして近年提案された、「combined assurance」(統合保証)、「delphi-inspired assurance」(デルファイ法による保証)、「interpretive assurance」(解釈的保証)という3つの保証モデルに焦点を当てた検討を行っている。 具体的には、(1)では、ステークホルダーの参画を中心とした組織活動の統制システム・プロセスの評価・保証や、そこで明らかになった問題点について助言・勧告を行うような、典型的な職業会計士による保証とは異なる特徴を有する保証事例を収集している。また、(2)では、3つの保証モデルには、保証付与の中心となる主体という点で違いが見られるものの(統合保証:ガバナンスに責任を有する者、デルファイ法による保証:独立した専門家パネル、解釈的保証:職業会計士)、いずれの保証モデルも、統合報告書の保証において問題となる、質的・将来指向的情報、主観的情報の保証に対し、統合報告書を作成するために用いられたプロセス・方法を多面的に評価することで、対応することを指向していることを確認している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度と同様、統合報告書の保証に関連する文献収集に加え、実際に行われている統合報告書に対する保証の傾向を分析する際の基礎となる、保証報告書の入手も問題なく実施できていることから、おおむね当初の研究計画通りに進められていると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
統合報告書の保証に影響を与える可能性のある基準や指針の開発、研究の進展に注意しつつ、これまでの研究成果を統合し、公表に向けた作業を行っていく。また、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、停止されていた対面での学会・シンポジウム等も徐々に再開し始めていることから、それらへの参加を通した情報収集・意見交換も積極的に行う予定である。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大の時期と研究期間が重なったことから、学会・シンポジウム等(対面)参加のための費用が大幅に減少し、次年度使用額が生じている。2023年度は感染状況の落ち着きが予想されるため、これまで参加が難しかった学会・シンポジウム等(対面)に積極的に参加することで使用していく。
|