2022 Fiscal Year Research-status Report
疑似家族的な親密圏が構築される活動をモデルとしたハンセン病問題経験学習理論の構築
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20K13686
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
西尾 雄志 近畿大学, 総合社会学部, 教授 (30434335)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ハンセン病問題 / ワークキャンプ / NGO |
Outline of Annual Research Achievements |
日本におけるハンセン病問題は、1996年のらい予防廃止、2001年の国賠訴訟、そして2019年の家族訴訟にみられるように、制度面では改善の方向に進んできている。しかし制度面での進展の反面、2003年のハンセン病回復者宿泊拒否事件にみられるように、人権啓発の面では十分な成果を上げたとは言い難い。日本におけるハンセン病の現状を端的にまとめるなら、制度面、つまり公的側面においてはハンセン病問題への改善の兆しが見られ、かつ市民感情としてもそれを基本的に肯定的に受けとめている。しかしその反面、それが温泉など自らの親密圏に近い領域に近づこうとすると徹底的に忌避する、というのが現状である。これらの現状を踏まえ本研究では、ボランティア活動によってハンセン病回復者との間に疑似家族的な親密圏を構築しながら、ハンセン病のスティグマ軽減に効果をあげている事例に注目し、そのエッセンスを分析し、それを基にハンセン病問題の教育プログラムを構築する。 同時に、考察の対象となる活動のスタイルが、ハンセン病問題以外のテーマに対しても応用可能であることを検討し、さらには、具体的な活動プログラムを作成し、実施するとともに、継続的に検討していく。 上の研究を実施するため、ハンセン病問題に取り組むNGOの活動、ハンセン病問題を対象とはしていないが、類似した活動を行っているNGOの活動、さらには応用の検討の3つのテーマを掲げ、それぞれ研究メンバーをつのり、研究会を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度、令和3年度はコロナ禍の影響で研究に遅れが生じたが、令和4年度は定期的に研究会を開催することができ、遅れを取り戻すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究ペースを維持し、その成果を論文として発表していく予定である。 具体的には、次の4つの研究会を同時並行的に実施していく。ひとつめは、ハンセン病問題を対象として、疑似家族的な親密圏が形成される活動を行なってきた団体の顧問をメンバーに加えた研究会である。この研究会では、ハンセン病をテーマとして、疑似家族的な親密圏形成が形成される活動の詳細を検討していく。ふたつめは、ハンセン病問題とは別の問題に対して、疑似家族的な親密圏が形成される活動を行なっている団体の代表をメンバーに加えた研究会である。この研究会では、ハンセン病問題以外のテーマに対して、この活動がどのようなポテンシャルを有するかを検討していく。3つ目は、疑似家族的な親密圏が形成される活動を実践している人をメンバーに加えた研究である。この研究会では、実際の活動プログラムを作成するための研究を行なう。4つめは、疑似家族的な親密圏が形成される活動を研究しているメンバーを加えた研究会である。この研究会は、2023年度より開始する。本研究会においては、疑似家族的な親密圏が形成される活動を、理論的にアカデミックな観点から研究する。 また、研究会以外にも調査出張を行なうほか、活動の視察や参与観察なども行なう予定である。このように多様な角度から研究を行なう。 本研究の成果は、学会誌などを通して公開していく予定である。
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Causes of Carryover |
令和2,3年度にコロナ禍の影響で研究が予定より遅れた関係で、両年度の予算執行が大幅に少なくなってしまったため、次年度使用が生じた。 次年度の使用計画は次のとおりである。調査出張、および研究会開催に伴う出張依頼によって生じる出張旅費に40%程度、講演の謝金に35%程度、書籍・文献の購入に5%程度、研究時間の確保とのためのバイアウト雇用に20%程度使用する計画である。 なお、予定している出張先は、大分県大分市、佐賀県佐賀市、石川県羽昨市、富山県中新川郡立山町、宮城県気仙沼市、東京都などである。研究会は大阪他で実施予定である。依頼予定の講演者は、疑似家族的な親密圏が形成される活動を行なっている実践者、ないしはその活動の研究者である。書籍・文献は、おもに理論書を予定している。
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Research Products
(1 results)