2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K13690
|
Research Institution | University of East Asia |
Principal Investigator |
佐藤 彰宣 東亜大学, 人間科学部, 講師 (70804350)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | フットサル / 地域社会 / 都市空間 / 個人参加 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、見知らぬ他者同士でプレーする「個人参加型フットサル」がなぜ、どのようにして成立しているのかを明らかにしようとするものである。チームスポーツといえば、友人や知人など既存の人間関係をもとに行われるものとして想定され、こうした趣味の実践は社会学でも「社会関係資本」や「コミュニティ形成」といった概念や視点で検討されてきた。 だが、2000年代以降フットサルコートが都市空間に建設されるとともに登場した「個人参加型フットサル」は、特定の人間関係に基づくはずのチームスポーツを、あえて匿名の「個人」のままプレーする。そのような「おひとりさま」として参加する「個人参加型フットサル」のあり方は、これまで議論されてきたような「コミュニティ形成」や「つながり」といった視点だけでは十分に説明できない。そこで本研究は、こうした「個人参加」という参与形態がなぜ生まれ、コートのなかで人々はどのようにふるまっているのかを歴史社会学や相互行為などの視点から検討しようとするものである。その際、本研究ではフットサルの日本における普及プロセス、都市と地域における比較などを分析視角とする。 ここまで史資料の収集・整理を中心に行うなかで、2020年度は日本におけるフットサルというスポーツの普及と扱われ方(農村部の「ミニサッカー」から都市部の「カジュアルなスポーツ」へ)の変化が明らかになった。これらの成果として、立命館大学人文科学研究所重点プロジェクトによる「若手研究者支援のための連続研究会「人文・社会科学研究の最前線」」で「個人参加型フットサルの空間と秩序」について報告を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のなかで実地調査(フィールドワークやインタビュー調査など)が行うことができず、資料整理・分析を中心に進めている。日本のサッカーおよびフットサルの歴史に関する史資料の整理・分析により、日本社会におけるフットサルの普及プロセス(戦後における「ミニサッカー」としての紹介、2000年代以降のフットサルコートの設置状況、「個人参加」の実施状況)などを検証している。併せてフットサルの入門書やマナーブック等の分析を通して、フットサルにおけるコートのなかでの規範や秩序についても社会学的に検討を行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
ここまでの研究成果については、2021年度前半に刊行される『楽しみの技法:趣味実践の社会学』にて「個人参加型フットサル:「おひとりさま」で行うチームスポーツの規範」としてまとめる予定である。またコロナ禍により実地調査は引き続き難しい状況にあり、しばらくは文献資料の収集・整理・分析を中心に進めていく予定である。いずれにしても、コロナ禍の動向をみながら、実施可能な範囲で研究を推進していく。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍により実地調査を行うことができず、旅費を使用しなかったため。次年度以降においては、コロナ禍の動向を見ながら、実地調査の可否を検討する。
|
Research Products
(1 results)