2021 Fiscal Year Research-status Report
Case Analysis of Incidents and Accidents in School Lunch Serving for Food Allergy
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20K13831
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Research Institution | Beppu University |
Principal Investigator |
高松 伸枝 別府大学, 食物栄養科学部, 教授 (90331876)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 食物アレルギー / 保育所給食 / アレルゲン / アクシデント / 魚アレルギー / 学校給食 / インシデント |
Outline of Annual Research Achievements |
食物アレルギー対応給食におけるインシデント・アクシデント状況を明らかにするために,保育・教育施設関係者へのアンケート調査を行った.最も多かったのは「配膳の取り違え」であり,発生後はインシデントで収束したか,無処置で回復していた.対応に苦慮する事柄は「食物アレルギー児の集団生活内での行動管理」であった.午前中の牛乳提供時のトラブル,昼食や間食時に患児が他の園児の食物を摂取するなどの事例があった.一方,原因不明,あるいは本来原因食物でなかった食物による症状誘発もあり,有事の受診体制整備が必要と考えられた.確認や複数チェックの怠りによる事例も少なくなかったことから,OJTやOff-JTの定期的実施やミスサポート体制が望まれた. 食品種が多彩であることから食物アレルギー対応給食で苦慮する魚アレルギーについて,横断的研究を行った.専門病院に受診する患者では,「症状あり」と回答した魚種は,サケ,タラ,タイが多く,ツナ缶詰などの加工品は「症状なし」の回答頻度が高かった.数量化Ⅲ類による魚種間の関連性や原因魚数別の魚種内訳を検討したが,魚の系統的分類や筋肉の色,原因魚の傾向はみられなかった.総務省調査による魚類摂取量と発症頻度が必ずしも結びつくわけではなかった.また,加工品は製造工程の「水さらし」操作によるパルブアルブミンの溶出や加圧加熱殺菌処理による症状減弱の可能性が示唆された.さらに,現在医療機関で保険適用可能な魚種は限られているが,”青身の魚はアレルギーを起こしやすいので念のために避ける”などの給食対応を減らすために,患者から詳細な問診をとり摂取可能な魚種を提供することが必要と考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVIT-19感染症の影響により学校給食現場での調査・実験を行うことができなかった.それにともなって成果発表のための旅費や人件費が支出できていない.今年度Web調査に切り替えることによって対応する予定であり,実験も可能な限り並行して行う.
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Strategy for Future Research Activity |
保育所給食でのインシデント・アクシデント調査結果をもとに,共起ネットワークによる事例分析を行う.またWebを利用した学校給食でのインシデント・アクシデント調査を行い,結果をもとに事例分析を行う.あわせて,対応給食の確実な情報提供と安全提供を目的とした保護者及び学校間の連携アプリを作成し,小学校での試行を行う.学校給食で効果が実証できた場合には保育所給食へ応用し,保護者負担や保育・教育施設での原因不明による発症リスク,インシデント・アクシデント低減化への寄与因子を考察する.
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Causes of Carryover |
COVIT-19の影響にて,給食現場での調査や実験を行うことができなかった.したがって実験検出キットの購入分,成果発表旅費,人件費が余剰となった.また,食物アレルギー対応給食のリスクマネージメント方法の一つとして,現在保護者と保育・教育施設間の連携自動化アプリを現在開発中である.本キットはこれまでにない新しいシステムとなるため,開発費用が100万円を超える見込みとなっているため,資金確保が必要となっている.
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Research Products
(37 results)