2020 Fiscal Year Research-status Report
校区の社会経済的背景と教員の人事異動・配置の不均等に関する実証的研究
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20K13902
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 瑛仁 大阪大学, 人間科学研究科, 講師 (30756028)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 教員の人事制度 / 教員の異動・配置 / 教育の不平等 / 校区の社会経済的背景 / SES |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、義務教育段階の公立小・中学校を対象として、校区の社会経済的背景と教員の人事異動・配置の関係を実証的に検討することである。 国外では校区の社会経済的背景が低位の学校では、教員の異動が多くなり、教員の配置が若手に偏る人事の不均等が問題となっている。しかし日本ではこの問題に着手されていない現状がある。そこで本研究では「校区の社会経済的背景によって、学校ごとの教員の異動率や若手の配置率が異なるか」を研究課題に据えて、日本の現状を検証する。 調査では、A)国際教員調査のデータを用いて、異動・配置の不均等の実態を計量的に分析する。B)加えて教育委員会を対象とした質問紙調査学校を行い、日本の教員人事の現状を把握する。C)さらに教育委員会・学校を対象とした事例研究を通じて、教員の異動・配置の不均等が生じるメカニズムや、異動・配置の不均等を是正する制度的条件を検討する。 今年度は、まず「 国際教員調査の二次データ分析」を行い、教員の異動・配置の不均等の実態を、OECDによる国際教員調査の二次データ(TALIS 2013、2018)を用いて計量的に検討した。分析は現在も進行中だが、校区の社会経済的背景によって教員の異動希望度が異なるなど、日本においても教員の異動・配置の不均等が生じている可能性が示唆される。 さらに、次年度予定している「全国の教育行政機関への質問紙調査」の準備段階として、教員の人事制度の整理や質問項目の検討を行った。質問紙では、異動の仕組み、教員配置・加配の基準など、人事の仕組みを整理しつつ、教員の異動や配置の不均等の状況や、またそうした不均等に対する配慮等を行っているかといった、教員人事に関する取り組みを尋ねる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、まず「 国際教員調査の二次データ分析」を行い、教員の異動・配置の不均等の実態を、OECDによる国際教員調査の二次データ(TALIS 2013、2018)を用いて計量的に検討した。分析は現在も進行中だが、校区の社会経済的背景によって教員の異動希望度が異なるなど、日本においても教員の異動・配置の不均等が生じている可能性が示唆される。 さらに、次年度予定している「全国の教育行政機関への質問紙調査」の準備段階として、教員の人事制度の整理や質問項目の検討を行った。質問紙では、異動の仕組み、教員配置・加配の基準など、人事の仕組みを整理しつつ、教員の異動や配置の不均等の状況や、またそうした不均等に対する配慮等を行っているかといった、教員人事に関する取り組みを尋ねる予定である。 研究は予定通り進行しており、次年度以降も調査研究をを進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は次の2つの分析を中心に研究を進めていく。 「A 国際教員調査の二次データ分析」では、TALIS(2013、2018)を用いて計量的分析を進める。TALISでは教員の勤務校のSESや、教員の年齢、異動希望、在籍年数などの指標が用意されている。これらを用いて日本における不均等の実態を、他国と比較しながら計量的に把握する。 「B 全国の教育行政機関への質問紙調査」では、教員の人事制度とともにSESによる教員の異動・配置の不均等に対する教育行政機関の取り組み状況を検討する。全国の都道府県教育委員会や都道府県別教育事務所への質問紙調査を行う。質問紙では、異動の仕組み、教員配置・加配の基準など、人事の仕組みを整理しつつ、教員の異動や配置の不均等の状況や、またそうした不均等に対する配慮等を行っているかといった、教員人事に関する取り組みを尋ねる予定である。
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Causes of Carryover |
質問紙調査の設計のための予備調査(聞き取り)が一部実施できなかったため、次年度に実施する。使用額に差額が生じたのは、その調査のための謝金・人件費等分で、これも次年度にあわせて使用する。
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Research Products
(1 results)