2020 Fiscal Year Research-status Report
社会科授業が苦手な小学校教師の資質・能力育成プログラム開発:授業観形成に着目して
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20K13988
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
大西 慎也 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 准教授 (20755318)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 社会科授業観 / 研修プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究採択前までに明らかにしてきた「社会科授業実践に関わる資質・能力形成プロセスと促進条件」に基づき、「社会科授業実践に関わる資質・能力育成のためのモデル案」の作成を進めてきた。 かつて社会科を苦手としていたものの、現在は社会科授業の研究に積極的に取り組んでいる現役の小学校教師にインタビューを行った。その調査により、社会科に対する考え方の変遷について調査した。資質・能力育成のためのモデルの核となるのは「社会科授業観の変換」である。インタビュー対象者は、授業改善に積極的に取り組む教師であるものの、国語や算数、体育が中心であった。そして、社会科に対しては、被教育体験により苦手意識を有していた。しかし、社会科授業改善に積極的に取り組む先輩教師の社会科授業実践を参観したことにより、それまで有していた被教育体験に基づく「社会科授業観」を疑い、社会科授業のあり方について先輩教師と語りあうことを通して「社会科授業観」を変換させていった。被教育体験により社会科に対して苦手意識をもっている教師が、先輩教師との出会いによりその「社会科授業観」を変換させていたことが確認できた。 このインタビュー対象者は、先輩との出会いにより「社会科授業観」を変換させることができたものの、必ず「社会科授業観」を変換させてくれる先輩に出会えるとは限らない。そのため、インタビュー対象者と所属している小学校の同僚性の中で、「社会科授業観」を変換させることができる手立てがないかを検討し、「社会科授業実践に関わる資質・能力育成のためのモデル案」を作成する準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
計画段階では、アクションリサーチの手法で研究を進め、インタビュー対象者の授業を参観し、「社会科授業実践に関わる資質・能力育成のためのモデル案」について検討する予定であった。しかし、コロナ禍の影響で、学校現場に研究目的で立ち入ることができなかった。そのため、調査を行なえたのは、オンラインでの1回のみとなり、当初、2020年度に作成予定であった「社会科授業実践に関わる資質・能力育成のためのモデル」を確定させるには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、前半に「社会科授業実践に関わる資質・能力育成のためのモデル案」を確定させる。そのために、2020年度に協力していただいたかつて社会科を苦手としていたものの、現在は社会科授業の研究に熱心に取り組んでいる現役の小学校教師に、アクションリサーチの手法を用いて授業参観、インタビュー(コロナ禍が続く場合オンライン)を行う。 後半には、作成した「社会科授業実践に関わる資質・能力育成のためのモデル案」の有効性を検証するために、2020年度とは異なる社会科を苦手と考えており社会科授業実践に関わる資質・能力を十分に形成していないと考えられる小学校教師との、アクションリサーチの手法を用いた協働研究をすすめる。新たな協力者からは、研究協力に対する承諾を得ている。
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Causes of Carryover |
2020年度は、コロナ禍のため、10回程度予定していたインタビュー調査を進めることができなかったため、予算を予定通り執行できていない。しかし、2021年度に2020年度に予定していたインタビュー調査を行なう計画であり、その文字起こしで予算を使用する予定である。また、オンラインでの対応が必要な場合には、その計画を円滑に進めるための物品を購入する可能性もある。
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