2021 Fiscal Year Research-status Report
社会科授業が苦手な小学校教師の資質・能力育成プログラム開発:授業観形成に着目して
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20K13988
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
大西 慎也 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 准教授 (20755318)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 社会科授業観 / 研修プログラム / 同僚性 / フィールドワーク / 探究心 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、「社会科授業観」の変容のためには、同僚教師との出会いが重要であることが明らかになっていた。そこで2021年度は、前年度同様コロナ禍のため制限はありつつも、他の対象者に協力を依頼し、質的な調査を進めた。2021年度に調査した内容、明らかになった点は以下のとおりである。 1点目は、同じ公立小学校に勤める、20代後半若手教師と40代後半ミドルリーダーによるセルフスタディに関する調査によるものである。2020年度に明らかになった研究成果の追加調査の意味合いもある。コロナ禍のためアクションリサーチを意図したインタビュー調査の機会は限定的となった。しかし、同僚の先生同士の日常の対話や授業の様子を記録していただき、それを分析することで、同僚教師との対話による「社会科授業観」の変容過程を明らかにすることができた。 2点目は、すでに定年退職された元小中学校教師のライフストーリー調査によるものである。対象者は、大学卒業後は、特定の大学教員の理論や民間研究団体の理論に依ることなく、日々の授業実践、さらに社会科の専門性を高めようと考える近隣の教師グループでの自主的なフィールドワークや勉強会を通して「社会科授業観」を変容させていた。先輩教師との出会い以外にも、本人がもつ社会事象を探究しようとする意欲や、仲間の存在が「社会科授業観」獲得に重要であることが明らかになった。 これらの成果から、「社会科授業観」の変容に必要な要素が「同僚」「研究仲間」など他者との出会い、本人の被教育体験からの脱却への意思が重要であることが分かった。さらに、社会事象への探究心が欠かすことができないことが明らかになってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度に行う予定であった学校現場での調査等を、2021年度に進めることとなったため、実質1年程度の遅れが生じている。特に「社会科授業実践に関わる資質・能力育成のためのモデル」の作成が遅れており、素案を検討する段階にとどまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の早い段階で「社会科授業実践に関わる資質・能力育成のためのモデル」を作成する。その後、協力者に依頼し、小学校教育現場での検証作業に入りたいと考えている。 検証の際に研究対象とする小学校教諭からは、協力に関して承諾は得ている。 「社会科授業実践に関わる資質・能力育成のためのモデル」や検証成果に関して学会で発表し、論文投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、当初の予定より、インタビュー数が少なくなっているため、使用額が少なくなっている。今後もコロナ禍のため、対象者を増やすことは困難であると想定されるものの、研究成果の検証対象者を増やすこと、対象者への調査回数を増やすことで使用していく予定である。さらに、開発した「研修プログラム」を報告書として製本、配布する予定であり、そのためにも使用する予定である。
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