2021 Fiscal Year Research-status Report
The Changing Process of Child Implications and Adaptation to Parents' Expectations: An International Comparative Study Using Mixed Research Methods
Project/Area Number |
20K14163
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
春日 秀朗 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (70760239)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 親からの期待 / 親子関係 / 家族心理学 / 青年心理学 / 医学部生 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度-2021年度にかけて行った医学部生に対するインタビューデータを用い、大学進学というイベントに際して、どのようなことが問題となり得るのか、その問題をどのように解決するのかについて質的分析を行った。 進路を決定する際に子どもの側面として「関心」「能力」「職業的魅力」が、親から感じた側面として「親の人生の補完」「親からの同一化」「親の価値観」が抽出された。これらを総合的に検討して進路を決定するが、自分自身を優先したときには、自身のキャリアへの迷いは少なかった一方で、受験における挫折・迷いが生じ、かつ自分自身の問題として解決しなければならないということを困難に感じていた。 進路決定に際して親の側面を重視せざるを得ないケースでは、親子関係によって大きく二つに分けられた。叱責や強制を含む厳しい親子関係の場合には、自分の希望が通らないこと、親子関係が悪化することに困難を感じていたが、子ども自身が割り切り、家の外に自分の居場所を作る/親に渡す情報をコントロールする/表面的迎合などでやりすごすことによって親との距離をコントロールすることで、自身や家庭の決定的破綻を回避していた。これらの行動は必ずしも否定的な意味だけをもつものではなく、子ども自身が当時の自分にできる精いっぱいのことであった、という肯定感も伴っていた。 もう一つのケースとして、叱責や否定など厳しい態度はなく、むしろ普段は良好な関係であるが、進路に関してのみ親子間で同意が得られないケースが見られた。このケースでは親子関係の悪化は生じなかったが、そのために子ども自身が親子関係を割り切ることができず、理解してほしい親に理解されず、調整を試みても親が譲らないため、自分の希望を変更する形で修正していることが多かった。この際、上記のように割り切ることができないため、上記のケース以上に自分で選んだ進路という意識が薄かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
世界的にCOVID-19感染が収束せず海外への渡航が難しい状態が継続していることに加えて、東欧の研究者と連携して行う予定であった活動が国際情勢の悪化によってままならなかったことにより、当初予定していた計画のまま進めることが非常に困難になった。 研究計画を大きく変更せざるを得ず、その対応にエフォートが割かれた。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた海外に渡航しての研究が難しく、また東欧の情勢の悪化により現地の研究者と連携しての活動が難しくなり、大きく変更することが必要になった。 今年度に計画している活動の一段階目として、調査会社に依頼してオンラインでの質問紙調査を主として行う。本研究課題における期待に対する自身の行動の意味づけに対して、子ども自身の自律意識、親子関係認知、進学後の肯定感などを変数として、特に一見して否定的な対応に着目し、それが肯定的な意味を持つために必要な条件について検討する。 二段階目として、一段階目で得られた知見をもとに国内外の青年に対してインタビューを行い、特に文化の違いが青年の行動や親子関係、期待に対する対応、過去の意味づけにどのような影響を生じるのかを中心に、詳細な情報を取得する。 これらの活動を通し、今年度および過年度の研究を通して得た情報をまとめ、関連学会に論文投稿をすることで本研究課題を完了させる。
|
Causes of Carryover |
COVID-19の感染が世界的に収束せず、予定していた海外渡航ができなかった。また東欧の国際情勢の悪化により現地の研究者との連携した活動を予定していたが、それもできなくなったため、研究計画に大幅な変更が必要になったため。
|
Research Products
(1 results)