2023 Fiscal Year Annual Research Report
Rhythms in Attentional Control by Working Memory
Project/Area Number |
20K14274
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川島 朋也 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 助教 (70825851)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 視覚的注意 / 注意の瞬き / 神経律動 / 感覚引き込み |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの脳活動にはいくつかの神経細胞が集団で同期して活動することによる律動波が認められる。近年、この神経律動と視覚的注意の関連が注目されている。注意の時間的限界を示す例として知られる注意の瞬き(AB)は、ワーキングメモリの刺激処理によるボトルネックが関与する可能性が指摘されている。これまで申請者は、感覚引き込みの方法を利用して神経律動と注意の瞬き現象との関連を検討してきた。感覚引き込みとは、周期的な感覚刺激を呈示することで脳活動を特定の周波数に引き込むことを試みるものである。実験により、4 Hzまたは10 Hzのテンポで純音を5秒間呈示すると、その後のAB課題の成績に変調が認められた。具体的には、妨害刺激を含まないAB課題の場合は4 Hzの音刺激で、妨害刺激を含むAB課題の場合は10 Hzの音刺激で見落としが増大した(Kawashima et al., 2022 European Journal of Neuroscience)。このことから、それぞれの音刺激が脳活動を変調する可能性を考えた。そこで、音刺激による神経律動の引き込みのメカニズムに迫るために、4 Hzまたは10 Hzの音刺激の呈示とAB課題を組み合わせた心理実験を遂行中の脳活動を脳磁図(MEG)で計測した。分析の結果、音の曝露時に音刺激による特異的な脳活動変調を認めることはできなかった。そのため、音刺激による視覚的注意の変調には脳活動の変調だけでなく、予期や構えなど他の要因も考慮する必要性があると結論づけた。 これらの実験に加え、触覚と視覚におけるクロスモダルの感覚引き込みや、視覚的な感覚引き込みによるワーキングメモリ課題の影響に関する予備的な調査を行うことができた。それぞれの研究で得られた知見を総合して、注意とワーキングメモリの関係における神経律動の関わりの解明を展開する。
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Research Products
(10 results)