2023 Fiscal Year Research-status Report
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20K14285
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
南出 新 京都大学, 数理解析研究所, 特定助教 (60802717)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 遠アーベル幾何 / ヘンゼル離散付値体 / 絶対ガロア群 / 準有限体 / グロタンディーク・タイヒミューラー群 / 強非分解性 / 単遠アーベル幾何 / 宇宙際タイヒミューラー理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)2023年度は、まず(以前から開始していた)「剰余準有限なヘンゼル離散付値体の遠アーベル幾何」に関する辻村昇太氏との共同研究を完成させ、プレプリントを公開した(論文投稿中)。本研究では、例えば、次のような成果を得た:以下、(簡単のため)Kを剰余体kが完全かつ標数pの混標数完備離散付値体とする。(a)pを出力データとするような、ある単遠アーベル幾何的復元アルゴリズムの確立。(b)kがある「有限性」をみたすと仮定する。この場合の、Kから生じる様々な副有限群、モノイドを出力データとするような、ある単遠アーベル幾何的復元アルゴリズムの確立。(c)kがある「有限性」をみたすと仮定する。この場合の、Kから生じる自然な2つの円分物の間の自然な同型(の軌道)を出力データとするような、単遠アーベル幾何的復元アルゴリズムの確立。(d)kがある「有限性」と「代数性」をみたすと仮定する。この場合の、Kの絶対ガロア群の自己同型の「幾何性」について、様々な条件との同値性を証明。
(2)混標数局所体の絶対ガロア群は強非分解性(=任意の開部分群は非自明な直積分解を持たない)という特徴的な性質をみたしているが、実際、遠アーベル幾何に現れる様々な副有限群もこの性質をみたしていることが知られている。例えば、2020年度の辻村昇太氏との共同研究により、「グロタンディーク・タイヒミューラー群は強非分解性をみたす」という結果を示していた。2023年度、我々は改めてこの結果について検証を行い、この結果の一般化に成功した(論文準備中)。
(3)また2022年度に引き続き、星裕一郎氏、望月新一氏、山下剛氏と共同で、宇宙際タイヒミューラー理論のある改良版における明示的計算についての研究も行った(論文準備中)。2023年度は、前年度に得られていた計算結果を用いて、より一般の(数体上の)楕円曲線の「高さ」に関する計算を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
混標数局所体に対する様々な代表的な遠アーベル幾何的結果を、(特定のクラスではあるものの)剰余無限な完備離散付値体のクラスの場合に一般化できたことは意義深いと思われる。また、当初想定していなかった、グロタンディーク・タイヒミューラー群の強非分解性に関する結果の一般化は、副有限群論の観点からも興味深い結果なのではないかと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020-23年度に得られた結果の発展・応用・精密化を模索していく予定である。また、研究計画調書に記載した本研究課題に対するアプローチは大きな発展の余地があると思われるので、引き続き検証していきたい。
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Causes of Carryover |
(理由)新型コロナウイルス蔓延時期に出張を控えていたため、旅費の使用計画に変更が生じた。 (計画)次年度使用額は、旅費、あるいは、新たに必要となった、PC関係物品・研究関連書籍の購入に充当される予定である。
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