2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K14477
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大塚 啓 九州大学, 理学研究院, 助教 (80777988)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 超弦理論 / モジュライ / ブローアップ / モジュラー対称性 / 素粒子現象論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,オービフォールド特異点の解消された余剰次元空間上の超弦理論の有効理論において,特異点解消に付随して現れるブローアップモードの湯川結合に注目した.特に,様々な6次元オービフォールド上のヘテロ型弦理論の有効理論に基づき,ブローアップモード間のフレーバー対称性を解析した. ブローアップモードの期待値が小さく,オービフォールド極限に対応する場合,ブローアップモード間のフレーバー対称性は非可換離散対称性で与えられ,滑らかなカラビ・ヤウ多様体の持つシンプレクティックモジュラー対称性に埋め込まれることを明らかにした.ブローアップモードの期待値が大きく幾何学的な描写が可能な場合は,ブローアップモード間のフレーバー対称性はより大きな非可換対称性で与えられることを,様々な6次元オービフォールドの特異点解消を行った余剰次元空間上の弦理論の有効理論で確認した.また,CP対称性を余剰次元空間の向き付け反転と対応させることにより,フレーバー対称性はより大きな離散対称性に拡張されることを指摘した. 今後は,(i)より広範な特異点解消された空間上の弦理論において,ブローアップモード間のフレーバー対称性の幾何学的起源を検討していくこと,(ii)ブローアップモードとバルクモード間の結合則及びフレーバー対称性を明らかにしていくこと,(iii)ブローアップモードの高次演算子の導出が望まれるが,次年度に研究を推進していきたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していなかったブローアップモードのフレーバー対称性に関する研究が進展した.そのため,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
高次演算子を含めたブローアップモードの有効理論の導出を行い,実験・観測データとの比較検証を行う準備を行う.当初の研究計画の実施のみならず,当初の研究計画より広範な分野の研究課題を遂行予定である.
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Causes of Carryover |
コロナ感染状況に伴い,国内外の出張が実現できなかったため,当該助成金が生じました.次年度の研究計画を遂行するにあたり,大規模数値計算を行うのに必要なパソコン機器の購入,及び国内外出張への充当を予定しています.
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