2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K14526
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
但木 謙一 北海学園大学, 工学部, 准教授 (30726435)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 銀河天文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、遠方宇宙にある楕円銀河の祖先となるような銀河を観測し、どのようにして楕円銀河へと進化するのかを解き明かすことである。私は赤方偏移2(およそ110億年前の時代に相当)の10個の大質量星形成銀河におけるアルマ望遠鏡とジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測データの解析・論文発表を行なった。以前のアルマ望遠鏡による観測によって、ダストの連続光放射の空間分布(つまり新たな星が生まれている場所)は明らかにしており(Tadaki et al. 2020として論文発表済)、今回はアルマ望遠鏡で一酸化炭素分子の輝線放射、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で近赤外線連続光放射の空間分布を明らかにした。これらはそれぞれ星の材料となる分子ガスの場所やすでに形成した星の場所を反映しており、3つのデータを組み合わせることで、観測後に銀河の形態がどのように変化していくか推測することが可能となる。銀河の中心部では外側よりも活発に星が生まれていて、そのため中心部のガスの減少も早く進んでいることがわかった。この活発な星形成が、銀河の中心部を作る主要なプロセスになっていると考えられる。観測した銀河は、まだ星の生成をやめる兆候が見られず、ガスも豊富にある。しかし、ガスが中心部で早く減るため、星形成はまず中心から止まり、その後外側へと広がると予想されます。観測した銀河は、これから星形成が外側へ広がる前に、中心部が形成される段階にあるのかもしれない。この研究成果についてはTadaki et al. 2024, ApJL, 957, 15として論文を発表することができた。
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