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2020 Fiscal Year Research-status Report

白金触媒活性化ギ酸によるナノスケール銅粒子表面酸化膜の還元挙動の解明

Research Project

Project/Area Number 20K14794
Research InstitutionWaseda University

Principal Investigator

MUHAMMAD KF  早稲田大学, 理工学術院総合研究所(材料技術研究所), その他(招聘研究員) (00801292)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2022-03-31
Keywords表面酸化膜の還元 / ナノスケール銅粒子 / 白金触媒活性化ギ酸
Outline of Annual Research Achievements

次世代パワーモジュールの実装における高温接合に起因する残留応力の発生を抑制するため、より低温(200℃以下)での金属間接合が求められる。近年、ナノスケール金属粒子の焼結接合、とりわけナノスケール銅粒子は、安価かつ高熱伝導率を有するため注目を集めている。しかしながら、銅はバルク状態ですら表面が酸化しやすいことで知られており、粒子が小さくなるほど、つまり、曲率が高くなり表面エネルギーが高くなるほど、酸化膜がより形成しやすくかつ安定になると推測でき、良好で高強度の接合体を得るには、ナノスケール銅粒子の表面酸化膜の還元が重要な研究課題となっている。
本研究では、ナノスケール銅粒子を用いた銅板間の接合を低温で実現するために、白金活性化ギ酸によるナノスケール銅粒子の表面酸化膜の還元メカニズムを解明することを目的とする。当初計画では熱重量・質量分析機器を用いて、ギ酸雰囲気下で加熱した銅粒子における排出するガスを分析することを想定したが、装置へのギ酸ガスの導入が困難のため、分析手法をを変更した。100nmと 45μmの銅粒子を準備し、2種類の還元性を示す有機溶媒を用いて混錬してペーストを作製し、熱重量・示差熱分析を行った。ジエチレングリコールとトリエチレングリコールで混錬した銅粒子が、各々の有機溶媒の沸点前に、酸化膜が還元されたことは、相対重量変化からわかった。いずれの有機溶媒でも、200℃以下で銅粒子が還元されたことが明らかである。エチレングリコールを加熱すると、アルデヒドの一種であるアセトアルデヒトを生成し、銅粒子の表面酸化膜を除去する。今回は、ギ酸ガスでなく、還元性のある有機溶媒を用いて酸化膜の還元を確認したが、ギ酸もアルデヒド基を有する構造を持つため、同様な還元機構が期待でき。今後は、研究代表者の新所属機関の分析機器を改造してギ酸ガスを導入して、その還元メカニズムを解明していく。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

進捗状況がやや遅れている理由は、主に3つある。一つ目の理由は2020年度4月辺りから新型コロナウイルス対策としての緊急事態宣言を受けて研究施設が使用できなくなったり、消耗品の納品が遅れたりすることが挙げられる。二つ目の理由は、当初、熱重量・質量分析機器(TG-MS)を用いて、粒子径が還元メカニズムに及ぼす影響を調べることを計画したが、研究代表者が所属していた研究機機関の上記分析装置へのギ酸ガスの導入が拒否されるため、分析手法の再検討を行った。そこで、上記の研究実績の概要で説明した熱重量・示差熱分析(TG-DTA)を用いて、2種類の還元性を持つ有機溶媒で混錬した銅粒子の酸化膜の還元を確認した。3つ目の理由は、研究代表者が2021年1月から海外の研究機関に異動することによって、研究の進捗が一時的に止まっている。研究に必要な分析装置が揃っていないのが問題となっている。幸い、研究代表者が所属していた旧研究機関に招聘研究員という立場を作っていただき、今後引き続き、必要に応じて来日して研究施設を使わせていただき、研究を進む予定である。

Strategy for Future Research Activity

銅粒子の還元機構を明確化するには、ギ酸ガスの導入による反応式の特定化が必要不可欠である。そこで当初の研究計画では、熱重量・質量分析機器(TG-MS)を使用して加熱中の排出ガスを測定することを検討したが、ギ酸ガスの導入が拒否されたため、熱重量・示差熱分析(TG-DTA)に急遽分析手法を変更した。今回行ったTG-DTAを通して、銅粒子の酸化膜が還元されることを確認したが、あくまでも定性的な判断にすぎないため、反応式の特定はできかねる。
そこで、今後の研究推進方策として研究代表者が所属している新研究機関が所有しているTG-MS装置に、ギ酸ガスを入れるためのモジュールを開発し、装置に取り付けることを考えている。これにより、当初計画していた研究内容を進めることができると想定する。また、銅粒子のペーストを作製するために、自転・公転プロペラレス混和方式ミキサーを導入することを考えている。

Causes of Carryover

研究代表者が海外の研究機関に異動することで、研究に必要な分析装置が揃っていないため、旧研究機関にて実験を実施するには旅費が必要になるからである。また、ギ酸を導入するためのモジュールを開発するための費用、消耗品の費用が必要になるため、次年度においても使用額が生じた理由になる。

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Published: 2021-12-27  

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