2021 Fiscal Year Research-status Report
Construction of evaluating equations for shear capacity of existing RC structural members based on the shear resistance mechanisms
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20K14813
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山田 雄太 日本大学, 理工学部, 助教 (90801035)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 耐荷機構 / FRPシート / 付着剥離 / 鉄筋腐食 / ビーム機構 / アーチ機構 / エネルギ定理 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度には,令和2年度までに健全な部材を対象として構築した耐力予測モデルをFRPシートにより補強された部材および鉄筋腐食ひび割れを有する部材へ拡張することを目的として研究を推進した. 同年度中には,FRPシートによりせん断補強されたRCはり試験体および鉄筋腐食ひび割れの模擬損傷を導入したRCはり試験体を作成するとともに,これらの試験体を対象とした静的載荷実験を完了した.実験結果に対する考察に基づき,FRPシートにより補強された部材および鉄筋腐食ひび割れを有する部材に対し,ビーム機構の耐力予測モデルを拡張するとともに,令和2年度の課題であったアーチ機構の耐力予測モデルの考案に至った. FRPシートにより補強された部材に対しては,耐荷機構の定義から構築した自由体に基づき,FRPシートによる斜めひび割れの開口抑制効果をビーム機構の耐力予測モデルにおいて考慮しており,FRPシートの付着剥離荷重をアーチ機構の耐力予測モデルにおいて考慮している.これらの成果の一部は,コンクリート工学年次論文集にて発表予定である. 鉄筋腐食ひび割れを有する部材に対しては,鉄筋腐食ひび割れの存在により,連続体としての仮定を適用することが困難であることから,載荷時におけるひび割れ経路の変化を反映した離散的な自由体を構築することで各耐荷機構の耐力予測モデルの提案に至った.これらの成果の一部は,土木学会第76回年次学術講演会および第65回日本大学理工学部学術講演会にて発表している.また,健全な部材を対象として構築した斜めひび割れ開口幅の予測手法は,鉄筋腐食ひび割れを有する部材に対して必ずしも適用できるとは限らないことから,いかなるひび割れ経路に対しても適用可能な斜めひび割れ開口幅の予測手法についても同時に構築している.この成果については,土木学会論文集E2にて発表予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度には,FRPシートにより補強された部材および鉄筋腐食ひび割れを有する部材に対する耐力予測モデルの提案に至っており,当初の計画を大幅に上回る成果が得られた.一方,提案したアーチ機構の耐力予測モデルについては適用性の検証を重ねていく必要がある.当初の計画では令和4年度までに,鉄筋腐食ひび割れを有する部材に対する耐力予測モデルを構築する予定であるが,モデルの構築に至るまで適用性の検証とモデルの修正を重ねていくことを考慮すると概ね当初の計画と同程度の進捗になることが予想される. なお,令和5年度までに実施予定の載荷実験に供する試験体(FRPシートにより補強された鉄筋腐食ひび割れを有するRCはり)の一部については,同年度中に作成を完了していることから,実験の進捗については当初の計画よりも進んでいる状況にある. 以上を総合的に考慮し,おおむね順調に進展しているものと判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度に提案したアーチ機構の耐力予測モデルは,FRPシートが付着剥離した際の軸方向作用力とコンクリートの荷重寄与分を考慮するものである.FRPシートの付着剥離荷重およびコンクリート荷重寄与分については,比較的良い精度で予測可能であることを確認しているが,シートの付着剥離とコンクリートの圧壊が同時に生じることを前提にした場合,精度が低下することがある.このことから,モデルの構築における前提条件に課題があるものと考えられるが,この前提条件を整理するためには,補強されたRC部材の各要素が分担する荷重がアーチ機構かビーム機構のどちらに分類されるのかを明らかにする必要がある.例えば,既往の知見に基づけば,せん断補強筋が分担する荷重やFRPシートの付着剥離離荷重はビーム機構に分類されるものと考えられるが,実験結果からこれらの荷重寄与分を精確に算定することが困難であり,各要素が分担する荷重を耐荷機構上で分類するための決定的な根拠が得られていないのが現状である. 次年度以降には,単純な応力ひずみ関係のみに依らず,実験結果から各要素が分担する荷重寄与分を算定する手法を考案するとともに,FEM解析を併用することでその算定を試みる.これにより,アーチ機構の耐力予測モデルにおける適用性の検証とモデルの修正に関する課題を解決する方針である.
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Causes of Carryover |
令和3年度には,主に試験体作成費用として予算を使用した.予算申請時の見積もり額と実際の試験体作成費用に生じた誤差が次年度使用額相当分である.令和4年度は,令和3年度に生じた残額を加えた予算を当初の計画していた試験体の作成に充当する予定である.
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Research Products
(3 results)