2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K14995
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
牧田 匡史 帝京大学, 理工学部, 准教授 (50782413)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 交通事故 / 人間工学 / 運転動作 / 高齢ドライバー / 緊急ブレーキ操作 / 着座姿勢 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の交通事故の発生件数、ならびに死者数は減少傾向である。一方で、高齢者が関わる交通事故は、発生件数・死者数ともに増加傾向である。この状況を踏まえ、本研究は、交通事故を未然に防ぐ、予防安全技術である自動ブレーキなどの自動車のセンサーやデバイスに頼らず、高齢者の特徴を生かした対策を創出することを目的とした。具体的には、この高齢者による交通事故を、高齢者に対応した最適な着座姿勢を創出することで、交通事故による被害軽減につながる基礎技術を創出することを目的とした。 結果、高齢者の着座姿勢を変えることで、ブレーキ操作のパフォーマンスが向上することが示唆され、高齢者の交通事故の要因の一つである”緊急時に十分にブレーキを踏めないことが多い”という課題に対する、車両のセンサーやデバイスに頼らない対策を示すことができた。この知見により、高齢者の緊急時におけるブレーキ操作の不備による交通事故の削減への指針が提供されるだけではなく、国際連合が掲げるグローバル目標であるSDGsの” 目標3:すべての人に健康と福祉を”や、”目標12:つくる責任つかう責任”への貢献の可能性が示唆された。 具体的には、身体能力の異なるドライバ(高齢者:8人、若年者:15人)を用いた着座姿勢違いでの緊急ブレーキ操作実験を行い、ドライバの運転動作(緊急ブレーキ動作)の特徴を、定量的に評価できる実験装置の構築と、高齢者と若年者の動作の特徴を選別できる評価指標を創出した。さらに、高齢者と若年者の緊急ブレーキ操作実験を筋骨格人体モデルにより再現することで、解析を併用した高齢者に対応した着座姿勢の検討から、高齢者が若年者と同等のブレーキ操作のパフォーマンスが発揮できる着座姿勢の方向性を明らかにした。 これらの研究成果は、世界でも先例のない、超高齢化社会を迎える日本から世界に先鞭をつける基盤技術となると考える。
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