2020 Fiscal Year Research-status Report
A fluorogenic click reaction for rapid quantitative analysis
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20K15952
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
高山 亜紀 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (40778586)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | クリック反応 / ホスフィン / オルトキノジメタン / アジド / Staudinger反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,分子生物学実験などの夾雑系で定量・追跡容易なクリック反応の開発を目的として,蛍光団の骨格形成反応を伴う2分子連結反応の開発を行った。 我々は以前に,高反応性ジエンを経由した「ベンゾシクロブテン(BCB)とスチリルホスフィンとの室温下での2分子連結法」を報告した。今回,連結反応-芳香族化により蛍光性の2-アミノナフタレン骨格が形成されるように反応基質であるスチリルホスフィンとアジドBCBを改良*することを計画した。本年度は,まず所望の芳香族化が達成されるか否かを調査すべく,改良型スチリルホスフィンの合成とそれを用いた検討を行った。 *スチリルホスフィンの改良:アルケン末端をFで置換することで,連結反応後にFが脱離基として働き芳香族化が実現するものと期待した。 (i)gem-di-F置換型スチリルホスフィン合成法の確立を行った。対応するアルデヒド含有トリアリールホスフィンの変換により,所望のgem-di-F置換型スチリルホスフィンの合成が行えると計画した。合成法を種々検討したところ,Huらによって報告されたJulia型オレフィン化反応(OL. 2010, 1444)にてgem-di-F置換型スチリルホスフィンを収率よく合成することができた。 (ii)計画した“連結反応-芳香族化”が起こりうるのかをgem-di-F置換型スチリルホスフィンと単純なアジドBCBを用いて検討した。その結果,芳香族化前の連結反応自体も進行せず,予期せぬ副反応が優先的に進行することが分かった。すなわち,系中で生成するイミノホスホランとgem-di-F置換アルケンとの分子内アミド化反応が進行した。Gem-di-F置換アルケンの求電子性が高いために,求核性の高いイミノホスホランと優先的に進行したと考察している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
改良型スチリルホスフィンの合成が早期に完了したため,“連結反応-芳香族化”の検討を研究初期に実施することができた。しかし,所望の”連結反応-芳香族化”は進行しないことが分かった。今後の方針について判断すべく,電子求引基(F, CN, CO2Me),電子供与基(OMe)を含む種々のアルケン1置換型スチリルホスフィンを用いた反応を検討したところ,単純なスチリルホスフィンを用いた場合に比べて連結体の収率は低下した。すなわち,スチリルホスフィンのアルケン末端への置換基導入は,その立体障害が影響し連結反応(分子内Diels-Alder反応)自体にポジティブな影響を及ぼし得ないと判明した。したがって,この戦略は不適と判断し,“脱離基をベンゾシクロブテンの四員環上に導入する”戦略へ変更することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
戦略を変更し,BCBの四員環上に脱離基(2つのフッ素原子)を導入することで,環化後の2回の脱離反応,すなわち“芳香族化”を検討していく。基質合成法としては,ベンゾシクロブテノンのカルボニルαジフルオロ化反応を経ての合成を検討している。なお,四員環上にフッ素が導入されたBCBは,報告例が複数あり,安定な分子として扱い可能と考えられる。さらに,当研究室の別グループにてカルボニルαジフルオロ化反応を実施済みであることから,早急に基質合成を完了できると見込んでいる。変更後の戦略について早急に検討を行うことで,前年度の遅れを取り戻す予定である。 また,新たな戦略では,アジドの隣に電子求引基のF原子が導入されるため,連結反応の1段階目であるStaudinger反応への反応加速効果についても期待できる。
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