2021 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体ストレスセンサーIRE1の活性型ジスルフィドオリゴマー形成機構解明
Project/Area Number |
20K15969
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松崎 元紀 徳島大学, 先端酵素学研究所, 助教 (90817040)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 小胞体ストレス応答 / ジスルフィド結合 / タンパク質品質管理 / IRE1 / 小胞体 / インスリン / ミスフォールドタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
真核細胞小胞体におけるタンパク質恒常性は、立体構造形成 (フォールディング) を助けるシャペロンや、小胞体ストレスを感知し、シャペロンの量を制御するストレスセンサーなど様々なタンパク質の協調によって成り立っている。ストレスセンサーは、フォールディングに失敗したミスフォールドタンパク質の蓄積を小胞体ストレスとして感知し、小胞体ストレス応答 (UPR) を惹起するが、ストレスセンサーによる小胞体ストレス感知やストレスセンサーに対する制御の分子機構は不明であった。そのため、UPRと関連する疾患の成因解明や治療法の確立にも障害となっている。 本研究では、サイズ排除クロマトグラフィー (SEC) 法、Clear-Native PAGE (CN-PAGE) 法などによるタンパク質会合状態の分析および蛍光分光法による凝集体形成の分析を行い、IRE1会合状態とストレス因子の関係を解析した。その結果、IRE1が、自身のタンパク質濃度、分子間ジスルフィド結合に依存して、従来法では見えていなかった複雑な会合状態をとることが明らかとなってきた。また、IRE1は、膵島β細胞における小胞体ストレスを模したインスリンの凝集体を直接感知し、会合状態を変えることを発見した。一方で、小胞体シャペロンP5がIRE1と直接相互作用すること、他のシャペロンであるERp72と相互作用し、効率的な凝集抑制を行うことを明らかにした (Matsusakiet al. Biology, 10, 1112, 2021)。これらの知見は小胞体ストレス応答を司るシャペロン-ストレスセンサーネットワークの理解に繋がり、UPR関連疾患の成因解明にも波及効果が期待できる。
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Research Products
(6 results)