2022 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン分泌障害に関与する脂質修飾タンパク質の探索
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20K15977
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松下 祥子 日本大学, 理工学部, 助教 (10806079)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脂質修飾 / 生活習慣病 / クリックケミストリー / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
欧米諸国に比べ、インスリン分泌障害に起因する2型糖尿病患者数の多い本邦では、インスリン分泌障害発症機序の解明が求められている。インスリンは膵臓のβ細胞内で合成され、細胞膜とインスリンを含有するインスリン小胞膜とが融合することにより、細胞外へ分泌される。そのため、膜融合の作用機序解明が重要であると考えられる。その際、タンパク質に対する様々な翻訳後修飾が行われていること、また、多くの糖尿病患者が脂質異常症を併発していることから、脂質修飾に着目したタンパク質の発現解析および手法改良を進めてきた。 昨年度までに、副生成物が生じにくいことで知られる有機化学反応を利用したクリック反応試薬の合成に成功した。これらは末端にアルキン構造を持つ脂肪酸であり、銅触媒下においてアジド-アルキン環化反応を利用したラベル化が可能である。また、タンパク質の発現変化解析およびインスリン分泌量の評価を行った。しかしながら、昨年度までは再現性が乏しいという問題点があった。 そのため、本年度は、脂質修飾タンパク質の精製過程を見直し、再現性評価を行った。また、脂質修飾タンパク質の新規解析手法を開発に向けた測定条件の検討を行った。 脂質修飾されたタンパク質の精製方法を検討した結果、再現良く検出されるタンパク質が観察された。また、グルコース濃度差による脂質修飾タンパク質の発現変化を評価した。さらに、細胞内のインスリン合成・分泌量を評価した。 新規解析手法の開発として、前処理条件の検討を行った結果、脂質修飾ラベル化試薬添加群に特有のシグナルを検出することに成功した。 研究期間全体を通して、脂肪酸鎖長の異なる複数種の脂質修飾ラベル化剤の合成に成功し、脂質修飾タンパク質と思われる複数のタンパク質のバンドを検出した。また、インスリン量を測定した他、脂質修飾ラベル化剤負荷後の簡易分析法の検討を行った。
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Research Products
(1 results)