2021 Fiscal Year Research-status Report
機械刺激受容によるマクロファージ機能制御とプリン作動性シグナルの役割の検討
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20K16010
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
伊藤 政明 高崎健康福祉大学, 薬学部, 講師 (30438759)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 機械的刺激 / マクロファージ / プリン作動性シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス由来培養マクロファージ細胞(RAW264.7細胞)をシリコンチャンバーに播種し、進展装置を用いて機械的刺激を負荷した。機械的進展刺激により、細胞外ATP濃度が10分をピークとして一過性にかつ進展強度に依存的に上昇した。また、低張液による浸透圧刺激においても、顕著な細胞外ATP濃度の上昇が確認された。このようにマクロファージのような免疫細胞においても進展刺激や浸透圧刺激が細胞外ヌクレオチドの上昇をもたらすことが確認された。機械的進展刺激の負荷は、マクロファージ細胞においてIL-1β, IL-6, COX-2 およびmonocyte chemoattractant protein-1 (MCP-1)といった炎症性サイトカイン・ケモカインの遺伝子発現レベルを増加させた。これらの遺伝子発現が進展刺激に伴い上昇する細胞外ヌクレオチドによる作用かどうかを検討するためにstretch-activated channel阻害剤のGd3+を処理したところ、IL-1β, IL-6, COX-2の発現上昇は抑制されたが、MCP-1の発現上昇は維持されていた。また、ヌクレオチド分解酵素のApyrase処理により細胞外ヌクレオチドを消去しても、MCP-1の遺伝子の発現上昇は維持されていた。 このことから、進展刺激によるマクロファージ細胞の遺伝子発現変動において、Gd3+感受性チャネルや細胞外ヌクレオチド以外のメカニズムが存在し、特にMCP-1の発現調節にはその寄与が大きい可能性が示唆された。機械刺激を受容するタンパク質は複数知られているが、マクロファージの進展刺激を受容する責任受容体についてはまだ明らかにできていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マクロファージ細胞への機械的進展刺激や浸透圧変化の負荷により、細胞外ヌクレオチド濃度の増加が認められ、炎症性サイトカイン・ケモカインの遺伝子発現レベルの変動が認められたことから、機械的刺激によりマクロファージ機能が変化する可能性が見出された。しかしながら、遺伝子発現レベルの増加が認められた因子については、実際のタンパクレベルでの検討が未着手である。また、マクロファージの進展刺激を受容する責任受容体についてはまだ明らかにできていないことから、「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
マクロファージ細胞の進展刺激による炎症性サイトカイン・ケモカインの遺伝子発現の変化が、増加した細胞外ヌクレオチドに由来する応答であるかを検証するために、増加の認められたATPやADPをはじめとする様々なヌクレオチドでマクロファージ細胞を直接刺激し、遺伝子発現の変動を解析する。また、マクロファージの機械的進展刺激を受容する責任受容体については、機械的刺激のセンサー分子としての可能性が高いP2Y6受容体の役割にも注目して解析を進める。進展刺激による細胞外UDPが上昇するかどうかについてバイオアッセイ系による検出が未達であるため継続検討する。
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Causes of Carryover |
本年度分においては、概ね予定通りに研究費が使用できた。しかし、学会開催がオンライン開催などに変更されことによる出張旅費の支出削減、また前年度からの繰り越した部分で差額が生じた。当該未使用額は補助事業を誠実に遂行した結果として生じたものであり、令和4年度に使用することによって、より研究が進展することが見込まれる。また、交付された補助金は適正に使用する。
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