2020 Fiscal Year Research-status Report
Treatment strategy with ALDH1A1 inhibitor to prevent relapse of chronic myeloid leukemia
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20K16044
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
八木 健太 徳島大学, 病院, 特任助教 (10869085)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 慢性骨髄性白血病 / 分子標的治療薬 / ALDH |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は慢性骨髄性白血病(CML)の治療効果の向上に伴って生じた問題の1つである寛解後再発を防ぐために必要不可欠な標的である、がん幹細胞に効果的な薬剤の探索である。 Bcr-Abl阻害薬Imatinibの登場によってCMLの5年生存率は90%を超え、長期生存が見込める疾患となった。しかし、現状ではBcr-Abl阻害薬を休薬すると再発してしまうため、現状では一生涯の薬物治療を余儀なくされている。とくに、AYA世代など若年患者においては長期投与による副作用や高額な薬剤費に悩まされていることから、根治薬の開発が切望されている。 まず、データベース解析等によってALDH阻害作用をもつ既存承認薬を複数抽出した。それら候補薬剤については、細胞を用いた検討によりいずれの薬剤もCMLに対して抗腫瘍効果を発揮する事が確認されたため、詳細な作用点について検証を進めている。しかし、候補薬剤をBcr-Abl阻害薬と併用した際にBcr-Abl阻害薬の薬効を損ねないかどうかについては、更なる検討を行っている。また、ALDH阻害はBcr-Ablとは作用点が異なることが示唆されているため、Bcr-Abl阻害薬に対する耐性を獲得したCML細胞株を樹立することで、T315iのような高度な薬物耐性を獲得したCMLに対しても抗腫瘍効果を示すかどうか検討を進めている。 また、これら薬剤の作用点であるALDHの発現に影響を与える薬剤以外の因子が治療継続に与える影響についてもデータベース解析を用いて検討を進めている。解析の結果、候補となりうる因子を複数抽出しており、これらの因子について詳細なメカニズムおよびがん幹細胞に対して何らかの影響を与えているのか基礎的検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの流行により、実験に必要な物品や試料の手配に通常より遥かに時間を要した。また、学内への立ち入り制限等により定期的な実験中断を余儀なくされてしまった。それにより、当初の研究スケジュールから遅延が発生している。 しかしながら、in vitro研究と並行して実施していたデータベース研究による多面的にアプローチにより、一部の解析については順調に進展している。細胞実験では薬剤耐性細胞の作成にも取り組んでおり、今後は概ね順調に進展していくと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度のデータベース解析により、有用性を示す可能性のある候補薬剤を抽出した。 今年度は候補薬剤について、CML幹細胞および薬剤耐性細胞に対する有効性についての検討を進めていく予定である。また、それらの詳細なメカニズムやサブタイプ解析についても更なる検討を進めていく。しかしながら、今年度もin vitro研究に中断を余儀なくされる事態が発生する可能性が考えられるため、候補薬剤の作用点に影響を与える薬剤以外の因子についての解析をさらに進め国際学術誌への投稿を前倒しで準備する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス流行のため、実験に関わる物品の手配に大幅な遅延が生じ、学内の各種実験施設への立ち入りについても頻回に制限された。 それにより、in silico解析が中心となり、in vitro実験が十分に遂行できず当初の実験計画に遅延が生じたため、使用額を次年度以降への持ち越しとした。今後も新型コロナウイルスの流行が続きin vitro 実験の中断を余儀なくされる事態が予想されるため、持ち越した使用料については、in silico解析を前倒して行う事により係る費用として使用する予定とする。一部年度末に納品された消耗品試薬に関して、支払い処理が4月にずれ込んだため、すでに消費されている費用が次年度使用額として計上されている。 また、当面学会参加の予定が困難である現状より、学会発表に係る費用は次年度の物品費に充てる。
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