2021 Fiscal Year Research-status Report
高度に成熟した3D心筋組織を用いた HCMモデルの構築と発症機序の解明
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20K16218
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤原 侑哉 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (70842912)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 心筋細胞 / 組織工学 / 肥大型心筋症 / 疾患モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトiPS細胞由来心筋細胞の欠点である未熟さを改善するために、これまで当研究室より見出されたヒトiPS細胞由来心筋細胞の成熟化を促す低分子化合物 (Cpd.A)を用いて3D心筋組織の成熟化法を最適化した。当該年度では引き続きこの方法により作製された3D心筋組織の成熟度を形態、収縮機能、代謝、遺伝子発現など様々な観点で評価した。昨年度までに明らかにしていた細胞の肥大やサルコメア長の延長と収縮力の増加といったパラメータに加え、ミトコンドリア量の増加とMYH7やTNNI3といった成熟化に伴い上昇する遺伝子の発現上昇が見られた。また解糖系や細胞周期に関連する遺伝子の低下が起きていることが明らかとなり、3D心筋組織が成熟化していることを多角的に明らかにした。 またHCM患者で認められている変異を導入した2種類のhiPS細胞を用いて3D心筋組織をそれぞれ構築し、この方法により成熟化させたところ、2種類の3D心筋組織とも野生型と比べて有意な心筋細胞の肥大を確認することができた。さらにRNA-seqにより遺伝子発現を解析したところ、過去の報告から得られたHCM患者の心筋組織のトランスクリプトームデータと似た遺伝子発現パターンを示していた。またサルコメアの錯綜配列や代謝経路、繊維化などHCM患者で認められている表現系を評価したところ、変異によって発現する表現系が異なることが明らかとなった。これらの結果はHCM患者で認められている表現系が均一ではないことと一致しており、本手法により作製された3D心筋組織のHCMモデルは実際の臨床に近いモデルであると示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度では心筋組織の成熟化法の最適化を終了した。目標とする成熟度までは達しなかったもののpathogenic変異をもつ2種類のiPS細胞を用いて、心筋細胞の肥大を確認したことからHCMの表現系が顕在化させる方法であることを明らかにした。またRNA-seqの解析により遺伝子発現の差異も確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA-seqのデータをもとにGO解析やpathway解析、transfacを用いた転写制御解析を引き続き行い、HCMを引き起こす鍵となる分子の抽出を行う。得られた候補分子はShRNAやSiRNA、低分子化合物を用いて、心筋細胞の肥大に候補分子がどう影響しているかを評価する。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの流行により学会参加ができず、世情が落ち着いたと想定される次年度にて学会発表を計画している。また一部実験を次年度の実施に変更したため、それに相当する物品費を次年度で使用する予定である。
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