2020 Fiscal Year Research-status Report
バクテリオファージ溶菌酵素を用いたディフィシル菌細胞壁の構造解析とその応用
Project/Area Number |
20K16250
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
武 晃 北里大学, 医学部, 助教 (30818399)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Clostridioides difficile / 細胞壁 / バクテリオファージ / 溶菌酵素 / LC/MS |
Outline of Annual Research Achievements |
クロストリディオイデス・ディフィシル感染症 (CDI) は、ディフィシル菌が引き起こす難治性下痢症・腸炎で、世界的に罹患率および死亡率の高い疾患である。本感染症制御にはディフィシル菌の殺菌法の確立が喫緊である。本殺菌法の確立へ展開していく中で、まずはディフィシル菌の細胞壁構造を十分に理解することが重要となる。その解決には、主な構成成分であるペプチドグリカン (PG) を完全に分解し、その産物を分析する必要がある。しかし、従来法で使用するリゾチーム処理では、ディフィシル菌PGが殆ど分解できない。既に我々は、バクテリオファージ (ファージ) の特性に着目し、その溶菌活性を利用することにより、様々な細胞壁分解物を得る方法を確立している。本研究課題では、これまでの研究から独自に見出したファージ由来溶菌酵素を用いて、ディフィシル菌の細胞壁構造を解明する。 2種類のディフィシル菌ファージの溶菌酵素をゲノム情報により特定し、発現用ベクターに導入後、大腸菌に形質転換させることで発現系を構築した。本酵素をディフィシル菌に添加したところ、濃度依存的に溶菌することを確認した。また、基質となる細胞壁を調製するために、ディフィシル菌の栄養型および芽胞形成の最適な培養条件について検討を行った。4種類のディフィシル菌株について、5種類の培地を種々の培養期間で嫌気培養した結果、同条件であっても菌株によって芽胞形成率が異なっていた。よって現在、各菌株において、栄養型または芽胞を個別に収集している。まずは、収集した栄養型1菌株について、微量高速冷却遠心機を用いて細胞壁PGを精製したところ、分析に使用できる回収率ではなかった。現在、超音波破砕の条件検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所在地である神奈川県では、COVID-19により緊急事態宣言が発令され、2020年4月上旬から5月下旬まで在宅勤務となり、大学での研究遂行が困難な状態になったことから、当初の計画よりも若干遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
既にディフィシル菌の培養条件を決定した。したがって、確立した芽胞形成の条件で実験を遂行する。具体的には、ディフィシル菌の栄養型または芽胞から、ペプチドグリカンを精製し、その構造解析を行う予定にしている。
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Causes of Carryover |
緊急事態宣言発令による研究計画進行が遅れたことに起因する。また、より効率的にペプチドグリカンを精製するために、ロータリーエバポレーターが必要である。従って、次年度使用額で本機器を購入する予定である。
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Research Products
(3 results)