2020 Fiscal Year Research-status Report
Trib1のエンハンサーリプログラミングによるAML悪性化機構の解明
Project/Area Number |
20K16318
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
芳野 聖子 公益財団法人がん研究会, がん研究所 発がん研究部, 研究員 (40793617)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Trib1 / Hoxa9 / C/EBPα / ChIP-seq / スーパーエンハンサー / 白血病 |
Outline of Annual Research Achievements |
Pseudokinase Trib1は、AML原因遺伝子かつHoxa9協調遺伝子として、当研究室で同定された。Trib1による白血病誘導機構として、MEK1/ERK経路の活性化促進と、C/EBPαの分解誘導が挙げられる。これまでの解析から、Trib1はC/EBPα p42アイソフォームの分解を介してErgの造血特異的+85スーパーエンハンサーを増強し、Ergの発現を亢進させることが明らかになっている 。2020年度では、Ergの+85スーパーエンハンサーのHoxa9結合配列をCRISPR-Cas9システムを用いて消失させたところ、Ergの発現が著しく減少したことから、+85スーパーエンハンサー領域のHoxa9結合がErgの発現に重要であることを証明した。さらに、Trib1によるスーパーエンハンサーに対する影響、特にcore regulatory circuitry としてenhancerに集まっているであろう転写因子群や共役因子群の同定を試みた。Trib1 hi細胞(Trib1 KO+Trib1/Hoxa9)において、スーパーエンハンサーを有する転写因子を抽出し、ヒストンH3K27ac結合領域のモチーフ解析から、Hoxa9及びC/EBPαを含む6個の転写因子を同定した。今後は、これら転写因子群が正の制御ループを形成し、Trib1によるAML悪性化機構に関与するのかどうかを検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標である、Trib1発現の有無で変動するエンハンサー、スーパーエンハンサーの同定とエンハンサーに集積する転写因子及び標的遺伝子の探索が概ね順調に進行した。一方、Cop1コンディショナルKOマウスの作製に予想以上に時間がかかっているため、今後はTrib1のエンハンサー修飾の解析と相互作用するエンハンサーメディエーターの同定に絞り、解析を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、RIME法などによりTrib1が結合するDNA領域を取得すると共に、Trib1と共に免疫沈降されるタンパク質を網羅的に同定する。細胞は、Trib1野生型、MEK1結合モチーフ(ILLHPWF)またはC/EBPαのユビキチンリガーゼであるCop1結合モチーフ(DQIVP)の欠損変異体を発現した細胞を使用し、Trib1と相互作用する転写因子・転写共役因子がTrib1のどのような機能により制御されているかを明らかにする。今年度の結果と合わせることで、Trib1が制御するエンハンサーメディエーターを同定する。 さらに、ヒトのダウン症に伴う急性巨核芽球性白血病(DS-AMKL)では、TRIB1の機能獲得変異R107Lが同定されており、その過剰発現はマウスAMLの発症を促進することが明らかになっている。次年度では、ヒト21番染色体に対応する、16番染色体の一部を部分トリソミーとして持つダウン症モデルマウスTs1Cjeを用いて、Trib1のダウン症での白血病発症と悪性化の影響についても検討する。
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Research Products
(5 results)