2021 Fiscal Year Annual Research Report
がん細胞が発現する二本鎖RNAに対する自然免疫応答制御機構の解明
Project/Area Number |
20K16320
|
Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
町谷 充洋 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (90759523)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 二本鎖RNA / 自然免疫応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、内在性二本鎖RNA(double-stranded RNA: dsRNA)に対する自然免疫誘導が、免疫チエックポイント阻害剤によるがん治療の奏功に関与すると報告され始めている。これまでのdsRNA関連の研究は、外部から一過的に導入したdsRNAに対する自然免疫応答の研究が進められてきた。一方で、内在性dsRNAに着目した研究は少なく、内在性dsRNAに対する自然免疫応答、および、その制御機構に関しては未知の領域である。そこで、本研究では、内在性dsRNAを解析する系を構築するために、外部からdsRNAを遺伝子導入するのではなく、細胞内でゲノムからdsRNAを発現する細胞の作製を試みた。まず、レポーター遺伝子としてLuciferase(Luc)遺伝子を発現させると同時に、Tet-ONシステムを用いて、Doxycycline添加時のみLuc mRNAに対するアンチセンスRNAを発現するコンストラクトを搭載したレンチウイルスベクター(LV)を作製した。また、導入細胞をセレクションするために、本ベクターにはマーカー遺伝子として、Kusabira-Orange(KO)遺伝子も搭載した。本LVを増幅・精製し、HeLa細胞に導入したところ、遺伝子導入細胞におけるKO遺伝子の発現を確認した。そこで、フローサイトメーターを用いて、KO遺伝子を発現する遺伝子導入細胞をソーティングし、得られた遺伝子導入細胞におけるLuc遺伝子の発現を解析したところ、Doxycycline添加によって、Luc遺伝子のセンス鎖だけでなく、アンチセンスRNAの発現も確認した。以上より、内在性dsRNAの発現に重要である、センス鎖とアンチセンス鎖を同時に発現誘導可能な細胞の取得に成功した。本細胞を用いることで、内在性dsRNAに対する自然免疫応答に関する新たな知見を得ることができると期待される。
|
Research Products
(2 results)