2021 Fiscal Year Research-status Report
KRASの超生理的活性化を標的としたKRAS増幅胃癌フェロトーシス誘導療法の開発
Project/Area Number |
20K16413
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菊池 理 京都大学, 医学研究科, 助教 (10869366)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | KRAS / フェロトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
2年度目は、初年度で実施したgenome-wide CRISPR screeningで得られた結果に基づき、複数の候補遺伝子や興味深い結果の得られた遺伝子(NF1、PTEN、STK11、GPX4等)のノックアウト細胞をKE39細胞株を用いて作成した。これらの細胞の活性酸素の変化を検討し、またGPX4遺伝子の発現変化を確認した。 また、in vivoの実験に使用可能な遺伝子改変細胞をKE39細胞を用いて作成中である。恒常的なGPX4ノックアウトを行った細胞がヌードマウスに移植後に十分増殖しなかったことから、この細胞の用にIPTG誘導性のshRNAを用いた細胞を作成し活性酸素の状態がin vitro, in vivoで異なる可能性が考えられた。そのため、IPTG誘導型のノックダウン細胞を作成することとした。KE39-shGPX4細胞を2種類作成し、IPTG投与によりGPX4遺伝子の発現が低下することを確認した。今後はこの細胞の腫瘍造成能と増殖速度を確認し、IPTGとMEK阻害剤を投与して薬効と安全性を検討する予定。 また、胃癌の細胞株でKRASの増幅を伴う細胞株が乏しいことから、マウス胃オルガノイドを作成し、このオルガノイドへレンチウイルスを用いてKRASを強制的に発現させ、KRAS過剰発現オルガノイドモデルを作成した。コントロールとしてはLSL-KRASG12Dを持つマウスからの胃のオルガノイドを作成した。これらのオルガノイドのKRAS発現、KRASの下流の蛋白(MEK、ERK、AKT)の発現とリン酸化を確認した。これらについても in vivoでの実験への活用を検討している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CRISPRスクリーニングの結果とその後の検証から、NF1、PTEN、STK11等の有力な遺伝子、興味深い遺伝子を同定することができた。一方、AIFM2等のフェロトーシス関連遺伝子のノックアウトにより、KE39細胞がより薬剤耐性を示すことも明らかとなった。これらの遺伝子の検討結果をもとに、2種類の薬剤でMAPK経路をより強力に調節することでフェロトーシスが誘導されると期待できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、KE39-shGPX4細胞のマウスへの生着能を検討中である。この細胞のマウス皮下への生着と良好な増殖が確認できれば、ヌードマウスのゼノグラフト実験に使用し、trametinibや他の薬剤への感受性の評価を実施する予定である。 薬剤感受性評価においては、薬剤併用の有効性(抗腫瘍効果)に加えて、安全性(有害事象)についても評価を行い、臨床応用が期待できる薬剤併用療法の候補の同定を目指す。
|
Causes of Carryover |
実験試薬の一部を研究室内で融通したり、コロナ対応のため学会出張が減ったため支出額が抑制された。 令和4年度については第1四半期に比較的高額な免疫不全マウス(nudeマウス及びNSGマウス約25匹)を購入して実験に使用する予定があり、また国際学会での発表や論文の投稿も予定しているため、令和3年度末次年度使用分も含めて当初予定通りに全額の使用が見込まれる。
|
Research Products
(2 results)