2022 Fiscal Year Research-status Report
チック関連強迫症の治療反応性予測における近赤外線スペクトロスコピーの有用性検証
Project/Area Number |
20K16632
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
向井 馨一郎 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (70739218)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 強迫症 / 近赤外線スペクトロスコピー |
Outline of Annual Research Achievements |
強迫症の多様性を、症候学的特徴、臨床症状の相違、薬物治療への反応性など多角的視点にて、症例報告や臨床研究の形で知見の集積を行った。また、その内容を学術誌への投稿や学会での発表を積極的に発信している。本研究の主題であるNIRSによるチック関連強迫症の脳血流変化に関しては、Psychiatry and Clinical Neuroscienceに掲載された。その中で29名の強迫症患者をチック障害の既往の有無により2群(TD(+)、TD(-))に分け、健常者を比較したデータを報告した(Mukai, et al. 2020)。VFT、および、ToLにおける前頭極の脳血流変化量は、強迫症の2群で有意な差を認めた。TD(+)群におけるToL施行中の背外側前頭前皮質の脳血流変化量が強迫行為の重症度に直接的な影響を与え、TD(-)群においては強迫観念の重症度がDLPFCの脳血流変化量に影響を及ぼしていた。これらは、前頭極の脳血流は課題により相違があり、DLPFCはTDの既往の有無により強迫症の症状に異なった形で関与している可能性を示唆するものであった。 また、強迫症の重症度尺度であるYBOCSで評価し、強迫症患者を寛解群と重症群に分け、健常群とNIRSの血流変化量の比較を行っている。これは生物学的精神医学会に研究報告を行い、若手研究者育成プログラム奨励賞を受賞している。 さらに、初診の強迫症患者におけるNIRSを施行後の標準的治療における観察研究のデータが集まり、強迫症の多様性や薬物療法の施行の有無、symptom simensionによる割付などを行い、多角的視点から強迫症におけるNIRSの有用性および治療反応性予測での活用方法などを調査・検討を行っている。これらの研究結果に関しては、今後の学会での報告、英語論文作成を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もデータの蓄積に励み、これらのデータをもとに積極的に複数の学会にて報告を計画している。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染症のために学会がWeb開催となり、旅費などの費用が減少したために使用額が減少した。残額に関しては、翌年度予定使用額を合算し、以下の費用にあてる。コンピューターと事務関連および、精神医学、心理学、及び検査関係の用紙や消耗品など、研究成果投稿料(通信運搬費、印刷費(成果報告書代含む))、英文校正は、研究の遂行上において最低限の必要経費である。研究の遂行に必要な最低限の費用として使用するデータのとりまとめ、また成果公表(論文発表)に際して最低限の費用として計画している。
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Research Products
(1 results)