2020 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子診断困難な原発性免疫不全症に対する罹患細胞RNAに着目した診断法の構築
Project/Area Number |
20K16924
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本田 吉孝 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (00869381)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 原発性免疫不全症 / RNA / 発現解析 / 深部イントロン変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度に解析した症例では深部イントロン変異は同定されなかった。ただし、イントロン・エクソン近傍のスプライシングの異常に起因すると思われる原発性免疫不全症症例は3症例が同定され、RNAの解析によりいずれもスプライシング異常を確認し、確定診断を得ることができた。遺伝子変異がRNAに及ぼす影響について、in silicoの解析と組み合わせてRNAを直接確認する解析は有用であると思われた。 また、Netherton症候群の1症例に関しては、既報告のイントロン・エクソン近傍の変異が同定されたが、これまで本スプライシング変異がRNAに及ぼす影響については検討された報告がなく、今回、RNAに着目して本変異が病原性となる事の証明を試みた。 原因遺伝子であるSPINK5は血球系に発現しておらず皮膚ケラチノサイトにのみ発現しているという組織特異性のため、RNAの解析を行う場合、皮膚生検等の侵襲的な手技が必要になるという、臨床的に大きな制約があったが、今回は、解析対象とする細胞種を工夫することにより、比較的低侵襲な方法で発現を確認することができ、本変異の病原性を確認することができた。本解析法は、血球系に発現しない遺伝子群の異常による疾患に対して、非侵襲的な発現解析を可能とする点から、臨床上有益性が高いと考えられ、論文投稿を予定している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点で深部イントロン変異症例は同定されていないが、罹患細胞に着目したRNA解析を行うことで、血球系に発現しない遺伝子を原因とする原発性免疫不全症の診断について、非侵襲的な発現解析手法を見出した。
|
Strategy for Future Research Activity |
診断困難症例に対するRNAシークエンスを継続し、新規深部イントロン変異同定のための検索を継続する。新規深部イントロン変異が同定された場合は、当初の予定通り、分子生物学的機序の同定から、低分子化合物による表現型回復を試みる。 罹患細胞に着目した発現解析手技に関して、今年度得られた知見を論文化し、適応可能な症例があれば適応してさらに解析を進める。
|