2020 Fiscal Year Research-status Report
ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベータを標的とした潰瘍性大腸炎治療薬の開発
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20K16958
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
喜田 慶史 徳島大学, 病院, 特任助教 (80747650)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / ウロキナーゼ / uPA / 血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
潰瘍性大腸炎はびまん性の炎症が直腸から連続的に大腸に広がる原因不明の難治性腸疾患である。近年、潰瘍性大腸炎に対する新規治療薬が承認されているが、既存治療で寛解を維持できない症例も存在する。また潰瘍性大腸炎の炎症に血管新生が関わっていることが報告されている。申請者は抗体アレイを行い、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベータ(uPA)を含む複数の血管新生関連因子の発現が上昇していることを確認している。 そこで、まず潰瘍性大腸炎患者の大腸粘膜におけるuPAの発現をreal-time PCRを行い確認した。大腸炎粘膜では非炎症粘膜と比較し、uPAの発現が増加しており、炎症が強い部位でより発現が増加していた。 次に潰瘍性大腸炎の炎症粘膜におけるuPAの発現細胞を調べるため、生検組織の凍結切片を用いて免疫組織化学染色を行った。血球系マーカーとしてCD68、CD3、CD20、MPOに対する抗体を用いた。その結果、大腸炎粘膜においてuPAは主に好中球に発現していることを見いだした。 さらにuPAノックアウトマウスに対して、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を用いて炎症を誘導し、炎症の程度を評価した。まずDSS腸炎マウスの大腸粘膜におけるuPAの発現を免疫組織化学染色で確認したところ、潰瘍性大腸炎患者と同様に好中球に発現していることを確認した。その結果uPAノックアウトマウスでは野生型マウスと比較して、組織学的な炎症の程度が改善していた。同様にuPA阻害剤を用いた検討でも、uPAを阻害することによりDSS腸炎の重症度が改善することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、潰瘍性大腸炎組織での血管新生関連因子の発現の検討、免疫染色によるuPA発現細胞の確認を行った。また、uPA阻害剤、uPAノックアウトマウスを用いた実験も進行中であり、概ね予定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスの大腸炎組織におけるサイトカインの発現やプラスミン活性を調べることにより、uPA阻害による抗炎症効果の機序を解析する。uPA阻害により特定のサイトカインの発現の変化が確認できれば、細胞実験を行いuPAとの関係を確認する。また、そのサイトカインを抑制することによる抗炎症効果に関してもマウスを用いて検討する。
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