2020 Fiscal Year Research-status Report
新規細胞死経路に着目した抗がん剤誘発性腎障害に対する治療戦略の開発
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20K17285
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
濱野 裕章 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任助教 (10847289)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フェロトーシス / シスプラチン / 鉄 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、鉄を介した脂質過酸化によって誘導される非アポトーシス性の調節細胞死フェロトーシスが、抗がん剤誘発性腎障害における役割を解明することを目的とした。 シスプラチン投与48時間の急性腎障害モデルマウスにおいて、腎臓のTransferrin ReceptorおよびFerritin Heavy Chainタンパク質の発現量の増加に伴い、鉄含有量が増加すること、ヒドロキシラジカルが増加することからフェントン反応の発生が示唆された。さらに、鉄キレート剤deferoxamineの使用によって、シスプラチン投与マウスの腎臓におけるフェロプトーシスのマーカーであるCOX-2発現および脂質過酸化の増加を抑制した。フェロトーシスの阻害剤であるFerrostatin-1においても同様の効果が確認された。 したがって、シスプラチンは鉄を介したフェントン反応による脂質過酸化を介してフェロプトーシスの誘導に寄与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は細胞実験と動物実験を計画しているが、動物実験におけるモデルマウスの作成、フェロトーシスの関与の解明、鉄除去の有効性の解析についてはほぼほぼ完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、シスプラチン投与腎障害マウスにおいて、Transferrin Receptor、Ferritin Heavy Chainタンパク質発現量、鉄含有量、ヒドロキシラジカルが増加することを確認した。加えて、鉄キレート剤deferoxamine、フェロトーシス阻害剤であるFerrostatin-1によって、フェロプトーシスのマーカーであるCOX-2発現および脂質過酸化の増加を抑制した。 このことから、シスプラチンは鉄を介したフェントン反応による脂質過酸化を介してフェロプトーシスの誘導に寄与する可能性が示唆された。 来年度は、誌上発表にむけた準備を進めており、追加の解析が必要と考えられる抗腫瘍効果への影響についても解析を行う予定である。
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Research Products
(2 results)