2022 Fiscal Year Annual Research Report
t(8;21)白血病異的抗原IL-5Raを介した白血病発症機構の解明と治療応用
Project/Area Number |
20K17380
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
島 隆宏 九州大学, 大学病院, 助教 (30869706)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | AML1-ETO / t(8;21)AML / IL5Ra / leukemic stem cell |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はt(8;21)染色体転座を伴う白血病(t(8;21)AML)を対象とし、t(8;21)AMLの白血病成立の根源である白血病幹細胞と正常造血幹細胞を比較することで新規治療標的を同定し、白血病を克服することを目標とした。 成果としてはt(8;21)AML幹細胞にIL5Raが高発現していることを明らかにした。またsingle-cell 由来のDynamic ArrayによりこれらIL5Ra陽性細胞は全てAML1-ETO融合遺伝子が陽性であることを明らかにした。以上からt(8;21)AMLにおいてIL5RaはCD34+CD38-の幹細胞分画におけるt(8;21)白血病幹細胞特異的細胞表面マーカーとして利用可能であることが明らかとなった。さらにIL5Ra抗体をt(8;21)AML細胞に添加すると、白血病細胞の細胞周期非依存性の細胞死がより著明になることがin vitroおよびin vivoの系で明らかとなり、IL5Raはt(8;21)AMLにおける治療標的候補であることが示された。 次にt(8;21)AMLにおけるIL5Raの機能解析を行うために、AML幹細胞と正常造血幹細胞をRNA-seqを行い遺伝子発現比較したところ、AML幹細胞においてTP53やBRCA1/2といったDNA複製に関与する遺伝子発現が有意に低下していた。実際t(8;21)AML細胞にIL5刺激を加えると、DNA複製関連遺伝子の有意な抑制が認められたことから、t(8;21)AMLではIL5シグナルを介してDNA複製関連遺伝子を抑制させゲノム不安定性を誘導することで白血病の病態形成に関与している可能性を考えた。このIL5シグナルとDNA複製関連遺伝子の直接的な関与に関して現在解析中であるが、明確な直接的関与を明らかにするには至っておらず、今後は網羅的なタンパク解析などの異なる手法での探索が必要である。
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