2020 Fiscal Year Research-status Report
DLBCL,NOSの血算値に基づく新規予後予測指標の確立及び血球減少の病態解明
Project/Area Number |
20K17413
|
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
中山 聖子 近畿大学, 医学部, 非常勤講師 (90755977)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | びまん性大細胞型B細胞リンパ腫,非特異型 / 血球減少 / 予後予測指標 / HP index / IL-6 |
Outline of Annual Research Achievements |
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫,非特異型 (DLBCL,NOS)の160症例を用いて、診断時の白血球数、ヘモグロビン値、血小板数と予後との関連性を統計学的に解析した。白血球数低下と予後には関連性がなかったが、ヘモグロビン値低下症例や血小板数低下症例では、全生存期間 (OS)および無増悪生存期間 (PFS)がともに不良であった。また、臨床所見、既存の国際予後指標 (IPI)と血算値との関連性について統計学的に解析した。ヘモグロビン値低下症例は臨床病期、IPI scoreが高かったが、腫瘍細胞の骨髄浸潤の有無とは関連性がなかった。血小板減少症例は IPI scoreが高く、腫瘍細胞の骨髄浸潤を認めることが多かったが、臨床病期とは関連性がなかった。 我々は、ヘモグロビン値低下や血小板数低下を認めた場合に、それぞれ1点とした Hemoglobin-platelet (HP) indexを提唱し、high群 (2点)、intermediate群 (1点)、low 群 (0点) の3群に層別化した。その結果、HP indexが高い症例ほど OSとPFSともに予後不良で、HP indexは IPIと独立した予後因子であることが分かった。今までに血液検査データに基づく予後予測指標として有用とされている既存の Glasgow prognostic indexや Platelet-albumin scoreと統計学的に比較検討を行った結果、HP indexがより有用であることが分かった。 現在、DLBCL,NOSの生検リンパ節組織を用いて、血球減少に関与する各種サイトカインの免疫染色を実施している。途中段階ではあるが、腫瘍細胞が interleukin-6陽性群では、陰性群と比較してヘモグロビン値および血小板数が低下しており、引き続き検討を続けている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年間で160症例の臨床データの集積を行い、血球減少と予後との関連性についての統計学的解析を終えることができた。我々が提唱する HP indexの有用性を、全生存期間および無増悪生存期間において示すことができた。また、血球減少に関与するサイトカインは、腫瘍細胞が産生する interleukin-6である可能性を見いだすことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
1) DLBCL,NOSの予後不良因子となっている血球減少のメカニズムの解明を、腫瘍細胞が産生するサイトカインに焦点をあてて引き続き検討を行う。 2) 腫瘍細胞におけるサイトカイン発現と今までに報告されている他の病理学的予後指標 [Ki67 index、Mycの発現、subtype (GCB type/ non-GCB type)、immunophenotype (double-expressor/ triple-expressor) ] との関連性を検討する。 3) HP indexを用いて DLBCL,NOSを層別化することで、既存の化学療法では救命できない予後不良群を抽出し、抗サイトカイン療法などの新たな治療法の開拓につなげる。
|