2022 Fiscal Year Annual Research Report
レプチンに注目した肥満によるアトピー型喘息発症の免疫機序の解明
Project/Area Number |
20K17429
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
野村 孝泰 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (50587334)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 気管支喘息 / 肥満 / レプチン / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度はレプチンのアトピー型喘息発症への関与について、これまでと異なる角度での解析を行った。マウスの肺をシングルセルRNAシークエンス解析で、網羅的に発現遺伝子を評価した。レプチン受容体は内皮細胞、上皮細胞、間葉細胞、肺胞マクロファージなどに発現を認め、特に肺胞上皮細胞での発現を強く認めた。一方で、B細胞、T細胞、樹状細胞、間質マクロファージでの発現は認めなかった。また、レプチンは肺由来の細胞では発現を認めなかった。 レプチン受容体の下流の細胞内伝達としては、JAK2-STAT3が知られている。これらの伝達物質のmRNA発現は、肺由来のシングルセルで、肺胞マクロファージを含む幅広い細胞集団で認めた。 令和2年度から4年度にかけて、アトピー型喘息のリスク因子として報告される「肥満」について、どのように発症に関与しているか解析を試みた。肥満細胞から分泌されるレプチン、レプチンによる肺胞マクロファージ活性化、肺胞マクロファージの活性化を介した喘息発症モデル(確立済み)、などを関連付ける試みであった。令和2年度にはレプチンをin vivo、in vitroで投与することでブタクサ花粉に対する反応性(確立済み)の修飾を評価したが、修飾を認めなかった。令和3年度には表現系で肥満を呈するレプチン欠損マウス(ob/obマウス)をブタクサ花粉で感作することで、野生型マウスとの反応性の違いを評価した。しかし、こちらも仮説に反して肥満マウスと野生型マウスで感作、好酸球性炎症の反応性に違いを認めなかった。令和4年度は、今後の研究の発展に向けてマウスの肺をシングルセルRNAシークエンス解析で、網羅的に発現遺伝子を評価した。肺のシングルセルのクラスター同定を行い、標的の主体となるlepr、jak2、stat3などの発現を確認している。専門的なデータ解析の余地を残し本研究を終了する。
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