2020 Fiscal Year Research-status Report
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症における2型自然リンパ球の機能解析
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20K17437
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
町山 智章 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 非常勤講師 (00868268)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 / ILC2 |
Outline of Annual Research Achievements |
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA)は気管支喘息やアレルギー性鼻炎を前駆症状とし、高度の好酸球増加と多臓器の障害を引き起こす原因不明の全身性血管炎である。2型自然リンパ球(ILC2)はアレルギー性炎症のトリガーとして注目されている。EGPA患者の末梢血液中ではILC2が著明に増加しているが、その詳細な機能は不明である。そこで本研究においては、EGPAの病態形成においてILC2がいかに関わるか、その分子機構の一端を明らかとすることを目指す。
当科のEGPA患者について臨床データの抽出・解析を行った。 また、健常者の末梢血検体を用いて予備実験を行った。末梢血単核球(PBMCs)を分離し、マルチカラーフローサイトメトリーを用いて各種免疫細胞(ILC2, T細胞, B細胞, 好酸球, 好中球,樹状細胞)の発現頻度を解析した。先行文献に倣い、ヒトILC2s はLineage- CD45+ IL-7Ra+ CRTH2+と定義した。健常者では末梢血中のILC2は非常に少なく、一般的な表面抗原解析やソーティング後のRNA抽出は困難と判断した。対応として、末梢血中の好酸球を標的に変更して、EGPAを特異的な好酸球フェノタイプの検索・解析を予定している。また、ILC2はtissue residentな集団であり、末梢血中よりも肺や皮膚、腎臓などの病変臓器にてexpansionしている可能性も考えられる。患者の生検標本の蛍光免疫染色を行うことで、障害臓器にてILC2を検出し、病態形成への寄与を明らかにできると考えている。患者検体を用いた上記の実験系のほかに、現在in vivoにて気管支喘息モデルのマウスを用いた実験を行いながら、血管炎における好酸球やILC2の役割につき、検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は無治療のEGPA新規発症例が少なく、条件が良好な検体が不足した。ILC2はEGPAの発症時に増加が認められるため、より初期の検体での評価が望ましい。
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Strategy for Future Research Activity |
末梢血中のILCの比率は非常に少ないため、適切な手法を選択する必要があり、シングルセル解析などの手法も検討される。また、EGPAだけでなく好酸球増多症候群(HES)など類縁疾患での解析も予定している。
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Causes of Carryover |
既存の試料や材料を用いていたため、次年度使用額が生じた。次年度以降は試薬の購入を含めての使用を予定している。
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