2022 Fiscal Year Research-status Report
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症における2型自然リンパ球の機能解析
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20K17437
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
町山 智章 東北大学, 大学病院, 医員 (00868268)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | EGPA / 好酸球 / ILC2 / 免疫沈降法 / ANCA |
Outline of Annual Research Achievements |
健常者の末梢血検体を用いて予備実験を行った。末梢血単核球(PBMCs)を分離し、マルチカラーフローサイトメトリーを用いて各種免疫細胞(ILC2, T細胞, B細胞, 好酸球, 好中球,樹状細胞)の発現頻度を解析した。先行文献に倣い、ヒトILC2s はLineage- CD45+ IL-7Ra+ CRTH2+と定義した。しかしながら、EGPA患者では健常者と比較してILC2は増加しているものの絶対数は非常に少なく、一般的な表面抗原解析やソーティング後のRNA抽出は困難と判断した。そこで、現在は主に好酸球に焦点を当てた解析を行っている。EGPA患者ではIL-33やTSLP,IL-25などのAlarminと呼ばれる血清サイトカイン濃度が有意に増加して おり、これらのサイトカイン刺激による好酸球の機能や活性の変化を評価した。ANCA関連血管炎の病理像ではしばしば小血管の壊死性血管炎を呈することから、好酸球上に内因性リガンドや死細胞を認識する分子の発現が誘導されているのではないかという仮説を立てた。末梢血から分離した好酸球をin vitroにてIL-33で刺激を行い、mRNA発現およびフローサイトメトリーによる表面抗原の発現を評価した。IL-33刺激に伴い一部のTLR発現増加は認められたが、死細胞センサーであるMincleはタンパク質レベルでは有意な発現の増加は認めなかった。EGPAはANCA陽性例と陰性例では臨床像が異なり、近年ではそれぞれで遺伝的背景が異なることも報告されている。ANCA陰性のEGPA患者では未知の自己抗原が存在する可能性があると仮説を立て、現在は主に患者血清を用いた免疫沈降法の実験系の確立を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでEGPA新規発症例が少なく、条件が良好な検体が不足した。ILC2や好酸球はEGPAの発症時に増加が認められるため、より初期の検体での評価が望ましい。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っているin vitroにて好酸球をalarminで刺激する実験系では、EGPAの病態や活動性を反映する有望な表面抗原を速やかに同定する必要がある。また、EGPAだけでなく好酸球増多症候群(HES)など類縁疾患での解析も予定している。また、新規自己抗原を探索する実験系については、初発時に採取した血清に限らず、再燃時の検体も利用して解析を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
既存の試料や材料を用いていたため、次年度使用額が生じた。次年度以降は試薬の購入を含めての使用を予定している。
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