2023 Fiscal Year Annual Research Report
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症における2型自然リンパ球の機能解析
Project/Area Number |
20K17437
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
町山 智章 東北大学, 大学病院, 助教 (00868268)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 / ILC2 / 好酸球 / 接着分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
健常者と気管支喘息(BA)患者、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)患者の血液検体から末梢血単核球(PBMCs)をそれぞれ分離し、マルチカラーフローサイトメトリーを用いて各種免疫細胞(ILC2, T細胞, B細胞, 好酸球, 好中球,樹状細胞)の発現頻度を解析した。先行文献に倣い、ヒトILC2s はLineage- CD45+ IL-7Ra+ CRTH2+と定義した。EGPA患者では健常者と比較してILC2の増加が認められた。しかしながらいずれの群でも絶対数は非常に少なく、ILC2での表面抗原解析やソーティング後のRNA抽出は困難と判断し、好酸球に焦点を当てた解析を行った。EGPA患者の好酸球では、BA患者や健常者と比較して好酸球の活性化マーカーであるCD11b,CD35,CD69,の発現の著明な増加が認められた。また、EGPA患者の好酸球では接着分子であるPSGL-1,αLβ2,α4β1の発現も増加していた。次に、EGPA患者のIL-33やTSLP,IL-25などのAlarminと呼ばれる血清サイトカイン濃度が有意に増加しており、これらのサイトカイン刺激による好酸球の機能や活性の変化をin vitroで評価した。ANCA関連血管炎の病理像ではしばしば小血管の壊死性血管炎を呈することから、好酸球上に内因性リガンドや死細胞を認識する分子の発現が誘導されているのではないかという仮説を立てた。その仮説の基で、健常者の末梢血から分離した好酸球をin vitroにてIL-33で刺激を行い、mRNA発現およびフローサイトメトリーによる表面抗原の発現を評価した。IL-33刺激に伴い一部のTLR発現増加は認められたが、Mincleなどの死細胞センサーはタンパク質レベルでは有意な発現の増加は認めなかった。 以上より、本研究からEGPAでは好酸球は接着因子の発現亢進を伴う活性化が血管炎に寄与していることが示唆された。詳細な病態の解明に向けて、更なる研究が必要である。
|