2020 Fiscal Year Research-status Report
Heavy for date児における胎児皮下脂肪量と周産期予後の関連
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20K18231
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
遠藤 豊英 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (10866833)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 胎児超音波 / 胎児発育 / 胎児四肢容積 / 妊娠糖尿病 / 胎児脂肪量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、新しい周産期予後予測マーカーの探索を目指して、胎児軟部組織(脂肪・筋肉)、および両者を含む胎児四肢容積の計測を施行している。これまでに、妊娠中期から後期にかけて胎児超音波を用いて胎児計測を行い、2編の論文を投稿し受理された。 まず、胎児軟部組織(脂肪量と筋肉量)の指標である胎児四肢容積について、日本人における正常発育曲線および各妊娠週数ごとの基準値を、本邦で初めて報告した(Journal of Clinical Medicine. 2021;10(3):485)。日本人の出生体重は欧米人と比較し低いことが知られているが、これまで胎児四肢容積についての比較は行われてこなかった。実際に欧米の既報と比較し、日本人における胎児四肢容積は、妊娠後期から特に差が出ることを報告した。 また、妊娠糖尿病の母体からは、巨大児の出生するリスクが上昇することが知られているが、今回、妊娠糖尿病の母体における胎児では、上腕容積(脂肪量を含む)が妊娠後期に増大することを見出し報告した(BJOG. 2021;128(2):329-35)。これは、妊娠糖尿病の母体では胎児の肩甲難産のリスクが上昇することとも対応しており、臨床的にも重要な知見となった。 一方で、COVID-19感染拡大の影響により、臨床研究である本研究において、母体のリクルートに支障をきたしたため、母体血・臍帯血の採取が遅れている。今後、妊娠中期~後期において、胎児計測(胎児上腕・大腿・腹部の皮下脂肪量、筋肉量、四肢容積)の症例数を蓄積し、胎児超音波計測値、母体血・臍帯血の解析結果、および診療録より収集した母体・新生児情報を統合したデータベースを整理する。これにより胎児軟部組織量(脂肪量・筋肉量)の規定因子の解明や、周産期予後との関連について解明していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、妊娠中期~後期において、胎児計測(胎児上腕・大腿・腹部の皮下脂肪量、筋肉量、四肢容積)を行い、母体血・臍帯血の解析により胎児軟部組織量(脂肪量・筋肉量)の規定因子の解明を目指している。しかし、COVID-19感染拡大の影響により、感染拡大防止の観点から妊婦健診の縮小などを余儀なくされ、臨床研究である本研究において妊婦のリクルートに支障をきたした。そのため、母体血・臍帯血の採取が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、妊娠中期~後期において、胎児計測(胎児 上腕・大腿・腹部の皮下脂肪量、筋肉量、四肢容積)の症例数を蓄積していく。また出生後、周産期合併症(遷延分娩、帝王切開率、肩甲難 産、腕神経叢障害、呼吸障害、低血糖)の評価を行う。 診療録からは、胎児発育に影響を与える母体因子(年齢、経産数、産科合併症(妊娠糖尿病や 妊娠高血圧症候群)、非妊娠時BMI、母体体重増加量)の抽出を行う。さらに、母体血・臍帯血採血により、胎児発育と関連する血清マーカー(脂質[トリグリセリド、遊離脂肪酸]、アディポカイン[レプチン、アディポネクチン、IL-6、TNF-α]、 インスリン抵抗性[HOMA-IR])の測定を行う。今後、胎児超音波計測値、母体血・臍帯血の解析結果、および診療録より収集した母体・新生児情報を統合したデータベースを整理する。これにより胎児軟部組織量の規定因子の解明や、周産期予後との関連について解明していく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス感染拡大の影響で、予定していた学会出張などが全てWeb開催となったため、予定していた出張費用などの支出分が減少した。また、本研究では、妊娠中期~後期において、胎児計測(胎児上腕・大腿・腹部の皮下脂肪量、四肢容積)を行い、母体血・臍帯血の解析により胎児軟部組織量(脂肪量・筋肉量)の規定因子の解明を目指している。しかし、COVID-19感染拡大の影響により、感染拡大防止の観点から妊婦健診の縮小などを余儀なくされ、妊婦のリクルートに支障をきたした。そのため、母体血・臍帯血の採取が遅れており、採血検体の解析が遅れているため、計上していた解析費用について次年度への繰り越しが生じた。
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Research Products
(5 results)