2021 Fiscal Year Research-status Report
カプサイシン軟膏を用いた嚥下性肺炎の予防法の開発:メカニズムの解明と臨床への応用
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20K18283
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
近藤 英司 徳島大学, 病院, 講師 (50770434)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カプサイシン / 外耳道刺激 / 嚥下障害 / 咳反射の亢進 |
Outline of Annual Research Achievements |
カプサイシン軟膏による外耳道刺激が嚥下障害患者の咳反射を亢進し肺炎リスクを低下させるメカニズムを、患者の咳反射、喀痰中のサブスタンスPと、その受容体であるニューロキニン1の変化から解明する。さらにその成果をもとに、刺激中止後の咳反射亢進効果の持続、咳反射亢進効果がプラトーになる時期、反復刺激の適切な頻度について考察し、カプサイシン軟膏による外耳道刺激を臨床へ応用し安全で新しい嚥下性肺炎の予防法を開発するのが本研究の目的である。 令和3年度の研究実施計画では、90歳以上の超高齢の脳血管障害やパーキンソン病や嚥下性肺炎の既往があり入院している嚥下障害患者を対象にカプサイシン軟膏による外耳道刺激の反復を行った。2週間以上のカプサイシン軟膏による外耳道反復刺激を行い、超高齢嚥下障害患者の声門閉鎖・咳反射を改善した。また、刺激期間中、患者の熱発回数は刺激前より有意に減少し、経口摂取を継続することが出来た。このことから、カプサイシン軟膏による外耳道反復刺激は、患者の咳反射の亢進により下気道炎を予防し、患者の経口摂取の継続に寄与したと考えられた。 寝たきり高齢者は、咳反射が減弱し、不顕性誤嚥による嚥下性肺炎を発症するリスクが高く、外耳道へのカプサイシン軟膏刺激は、寝たきりや認知症により嚥下訓練が困難な超高齢嚥下障害患者においても、咳反射を亢進し嚥下性肺炎を予防する安全な治療法となりうると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
カプサイシン軟膏による外耳道刺激の反復が嚥下障害患者の咳反射を亢進し持続させることから、咽頭喉頭粘膜下で増加したサブスタンスPがその受容体である。 ニューロキニン1へ結合しup-regulationしていることが予測される。患者喀痰中のサブスタンスP、咽頭粘膜のニューロキニン1受容体mRNAを測定し解析を予定しているが、コロナ禍の影響により参加症例数が予想より少なく、さらに喀痰中サブスタンスPを採取するための超音波ネブライザーの使用が制限されているため、本年度もまだ傾向が示せていない。
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Strategy for Future Research Activity |
症例、サンプル数を少しずつ蓄積し、外耳道刺激の反復によるを患者喀痰中のサブスタンスP、咽頭粘膜のニューロキニン1受容体mRNA の増加の確認により、カプサイシン軟膏による外耳道刺激が嚥下障害患者の咳反射を亢進させるメカニズムを解明する。また、今後の研究では、外耳道刺激中止後の咳反射の評価の解析により咳反射亢進効果がプラトーになる時期から刺激の適切な頻度について考察する。
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Causes of Carryover |
カプサイシン軟膏による外耳道刺激の反復が嚥下障害患者の咳反射を亢進し持続させることから、咽頭喉頭粘膜下で増加したサブスタンスPがその受容体である。ニューロキニン1へ結合しup-regulationしていることが予測され患者喀痰中のサブスタンスP、咽頭粘膜のニューロキニン1受容体mRNAを測定し解析を予定している。しかし、コロナ禍の影響により参加症例数が予想より少なく喀痰中サブスタンスPを採取するための超音波ネブライザーの使用制限もあり、本年度もサンプル数が少なく解析のために購入を予定していた試料等の費用がかからなかった。また、コロナ禍の影響で学会はオンライン参加となり出張のための旅費もかからなかった。以上より次年度使用額が生じた。症例とサンプル数が蓄積すれば解析のための試料を購入し、学会出張が可能になれば旅費を計上する予定である。
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Research Products
(1 results)