2020 Fiscal Year Research-status Report
修飾RNAを主体とする新規液性因子による緑内障病態の解明
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20K18371
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小川 亜希子 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (00868565)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 緑内障 / RNA修飾 / 液性因子 / 線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
眼房水に含まれる液性因子は様々な要因によって組成が変化し、病態や手術成績に影響を与える。その中でも緑内障術後創部に起こる創傷治癒機転は緑内障術後成績に大きく影響を与え、過剰な線維瘢痕化が起こると術後成績は不良となる。申請者はオミクス技術を用いて眼房水・硝子体中に含まれるRNA修飾由来の新しい液性因子(修飾ヌクレオシド)を同定した。この液性因子は従来にないカテゴリーの液性因子であり、外的環境や病態によって変動し、その中には強力な生理活性を有し、その下流のシグナル伝達や生理・病的作用を惹起するものが含まれるが緑内障病態との関連は不明である。そこで本研究ではこのRNA由来の新しい液性因子の緑内障病態における意義の探索を目的とする。令和2年度において、眼房水・硝子体中に含まれる修飾ヌクレオシドの存在とその種類ごとの割合を論文として発表した。さらに、液性因子がリガンドとして働きうる300種類超のGタンパク質共役型受容体(GPCR)のβアレスチン依存性スクリーニング系を確立した。さらに、RNAを種類ごとに分画し、質量分析を用いて、緑内障術後線維化モデルにおけるRNA修飾の変動を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、緑内障病態とRNA修飾との関連を明らかにすることを目的とする。令和2年度において、RNA修飾由来の液性因子の標的となりうる受容体スクリーニング系の構築が終了し、緑内障病態モデルでのRNA修飾の変動を同定することができたので、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の研究成果を踏まえ、令和3年度は緑内障病態に関わるRNA修飾由来液性因子のGPCRスクリーニングを重点的に進める。具体的には、すでに確立している緑内障術後線維化モデルにおいて変動している因子が活性化能を持ちうるGPCRを同定する。同定したリガンドー受容体については、その下流の細胞内シグナル伝達や、緑内障病態との二次的な関連についても探索を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、学会がオンライン開催となったため、旅費が不要となり当該助成金が生じた。 次年度、修飾ヌクレオシドスクリーニングと解析を進めていく予定である。
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Research Products
(4 results)