2020 Fiscal Year Research-status Report
コラゲナーゼ表面処理を行った微細加工軟骨の性状が軟骨再生に及ぼす影響
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20K18425
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
伊谷 善仁 近畿大学, 医学部, 講師 (70510973)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 軟骨再生 / コラゲナーゼ処理 / 微細加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度はコラゲナーゼ表面処理によるマイクロ軟骨の形態変化について検討を行った。 出発原料であるイヌ耳介軟骨を微細加工装置にて微細加工し、1辺を200μmとするマイクロ軟骨を作製した。次に0.3%コラゲナーゼを用いて37℃下で振盪拡散させ、マイクロ軟骨の表面処理を行った。実験群として、コラゲナーゼ処理時間の異なる4群(0,15,60,120分間)を設定した。レーザー回折/散乱式粒度分布計を用いて、作製したマイクロ軟骨の粒度分布を測定した。またマイクロ軟骨の形態学的検索を行うため、表面性状を走査電顕、断面形態を光顕および透過電顕を用いて検討した。微細加工軟骨装置により微細加工されたマイクロ軟骨の粒子径が、コラゲナーゼ表面処理によりどのように変化するかについて、粒度分布計を用いて検討した。その結果、コラゲナーゼ表面処理によりマイクロ軟骨のMode径は低値を示し、コラゲナーゼ未処理群(255.5±55.8μm)に比較して、15分群(245.5±30.5μm)では約96%、60分群(185.5±15.5μm)では約73%、120分群(136.7±17.7μm)では約54%の粒子径減少が認められた。組織学的検討では、コラゲナーゼ処理に伴いマイクロ軟骨表層の細胞外基質分解が促進され、マイクロ軟骨内部の軟骨細胞が表層に露出される傾向が認められた。特に、120分群では、細胞外基質分解が進みマイクロ軟骨の3次元形状が維持されず、軟骨細胞は散在性に分布していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度はコラゲナーゼ表面処理によるマイクロ軟骨の形態変化について検討を行った。コラゲナーゼ表面処理を行ったマイクロ軟骨における細胞接着因子であるフィブロネクチンの発現を検討した。フィブロネクチンは巨大な糖タンパク質であり、インテグリンと結合することが知られている。近年、軟骨細胞の増殖には、細胞外基質中に存在する細胞接着因子フィブロネクチンからの増殖シグナルが必須であり、細胞増殖の調整には軟骨細胞のインテグリンがレセプターとして関与することが明らかとされている。そのため軟骨再生誘導では、細胞供給源とともに、細胞外基質を主体とする細胞外微小環境の検討は不可欠と考えられた。実験の結果より、コラゲナーゼ表面処理60分群において、マイクロ軟骨の細胞外基質にフィブロネクチンが最も強く発現し、フィブロネクチンとインテグリンの結合を介して軟骨再生に最も大きく寄与することが推察された。これらの実験結果をもとに、自家移植モデルを行う予定であったが、予期せぬ外的要因により、計画通りに研究用資材を入手できなくなった。今年度より入手の目途が立ったため、実験を加速していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度はin vitroとして実験を行う。今後はin vivoの実験を予定しており、自家移植モデルとしてイヌを使用する予定である.コラゲナーゼ処理時間の異なる3群(15, 60, 120分)を設定し、至適処理時間を検討する予定である. さらに播種するマイクロ軟骨量の異なる4群(8, 12.5, 25, 50%)を設定し、播種量の最適化を検討する予定である.
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Causes of Carryover |
自家移植モデルを行う予定であったが、予期せぬ外的要因により、計画通りに研究用資材を入手できなくなった。令和3年度より入手の目途が立ったため、実験を加速していく予定である。
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Research Products
(1 results)