2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K18452
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
土屋 壮登 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 形成外科, 助教 (20866735)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 止血剤 / 動脈吻合 / 静脈吻合 / シアノアクリレート / フィブリン / 光硬化性止血剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
新しい光硬化性止血剤の開発と血管吻合部への適応の研究に関し,令和2年度では光硬化性止血剤の物性検証と止血剤としての効果をラット遊離皮弁モデルで行った。物性の検証では流体力学的な解析を行った。具体的にはレオメーターによるねじれ応力への抵抗性の検討や,止血剤の組成比と硬化度の変化に関しての検証を行った。 ラット遊離皮弁モデルにおいては腹部皮弁を遊離皮弁化することにより,その血管吻合部位での効果の検証を行った。従来よりあるシアノアクリレートやフィブリン製剤との比較では動脈吻合部位においては止血効果としてシアノアクリレートと同等,フィブリン製剤よりも有効であるとの結果を得た。また静脈吻合においてはシアノアクリレート,フィブリン製剤と止血効果に関しては同等であるものの,吻合部位の開存率においてはわれわれの開発した止血剤が明らかに有効であった結果を得ている。 さらに生理活性物質を添加して徐放化が可能かどうかの検証を行った。すでに発表したIGF-1の添加と同様の方法を用いて,まずは製品化されているbFGFの徐放化を試みた。現時点では早期分解されてしまい,その徐放化に成功していない。 以上の結果より止血剤としての効果に関しては一定の結果を得たものと考えられるが,未だ生理活性物質の徐放化には至っておらず,令和3年度においては,まず徐放化を成功させたのち,吻合部への止血に加え,早期治癒への効果を検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症蔓延により当該施設に付属する動物実験施設も人員のリモートワーク・時短要請に従った。このことから,飼育動物の処分と新規実験動物の入荷制限をおこなったため実験の進捗が遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績に示したようにわれわれの開発した光硬化性止血剤は止血効果へのある一定の結果を本年度に得たものと考える。一方でこの止血剤は各種の生理学的活性物質を含浸することによりDrug Delivery Systemとして働くことが可能であることは過去の実験で明らかとなっている。 今回われわれは血管吻合部位での長期開存を目的として,各種生理学的活性物質を含んだ止血剤を開発することが目的である。しかしながら現時点において血管吻合の長期開存に寄与する生理学的物質の特定と,またわれわれの開発した止血剤に添加した生理学的物質がどのようDrug Delivery Systemとして血管吻合部位に効果を与えるかの検証がなされていない。今後の研究においては血管吻合部位の長期開存に寄与する物質を特定するとともに,その物質を止血剤に添加したのちの動態を検証することにより,より安全な血管吻合を実現するための方策に寄与する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症により生じた自粛期間のため,動物実験施設の使用に大きな制限が出た。そのため実験の進捗が送れ,物品購入まで至らなかった。また,海外学会に参加予定であったが,渡航が困難となり,旅費に関する支出がなかったため次年度使用額が生じた。次年度においては実験の進め,今年度使用予定であった必要物品への使用を行う。
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Research Products
(3 results)