2020 Fiscal Year Research-status Report
シングルセルRNAシークエンス解析を基盤としたシェーグレン症候群の病態解明
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20K18479
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大塚 邦紘 徳島大学, ポストLEDフォトニクス研究所, 特任助教 (90847865)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シェーグレン症候群 / シングルセルRNAシーケンス解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、新規技術であるシングルセルRNAシークエンス (scRNA-seq) 解析を用いて、シェーグレン症候群 (SS) 疾患モデルマウス唾液線における免疫機構の多様性・可塑性を解析してきた。 1.SS疾患モデルマウスおよびコントロールマウスの唾液腺からCD45陽性免疫細胞を単離し、scRNA-seq解析を行った。その結果、マクロファージやB細胞など様々な免疫細胞種の遺伝子発現パターンの変化が観察された。なかでも、特徴的なCD4陽性T細胞集団を見出し、SS疾患特異的CD4陽性T細胞とした。加えて、フローサイトメトリーによって、SS疾患特異的CD4陽性T細胞の表現型を解析すると、エフェクターT細胞の一種であることが示された。 2.SS疾患モデルマウスおよびコントロールマウスの頚部リンパ節からCD4陽性T細胞を単離し、シングルセルT細胞受容体 (TCR) レパトア解析を行った。その結果、SS疾患モデルマウスでは、TCRレパトアのダイバーシティに変化が生じていることが示された。 3.現在、上記で見出されたSS疾患特異的CD4陽性T細胞の機能解析を行っている。SS疾患モデルマウスおよびコントロールマウスの唾液腺からCD4陽性T細胞あるいはSS疾患特異的CD4陽性T細胞を単離し、抗CD3ε抗体および抗CD28抗体により刺激することで、サイトカイン産生や増殖能について解析を行っている。 4.上記で見出されたSS疾患特異的CD4陽性T細胞の病原性解析についても準備をすすめている。SS疾患特異的CD4陽性T細胞に特徴的な細胞表面分子に対する中和抗体を投与することで、これらの細胞を除去し、唾液腺での病理学的スコアや免疫学的影響を解析する。加えて、T細胞やB細胞が欠損しているマウス (NFS/sld Rag2 KO) へのT細胞移入実験を行うことで、病態形成機序を解明する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請段階で2020年度予定していたscRNA-seq解析とSS特異的細胞の同定は行えており、次段階である機能解析や病原性解析に着手できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.SS疾患特異的CD4陽性T細胞の機能解析:SS疾患モデルマウスおよびコントロールマウスの唾液腺からCD4陽性T細胞あるいはSS疾患特異的CD4陽性T細胞を単離し、抗CD3ε抗体および抗CD28抗体により刺激することで、サイトカイン産生や増殖能について解析する。 2.SS疾患特異的CD4陽性T細胞の病原性解析:SS疾患特異的CD4陽性T細胞に特徴的な細胞表面分子に対する中和抗体を投与することで、これらの細胞を除去し、唾液腺での病理学的スコアや免疫学的影響を解析する。加えて、T細胞やB細胞が欠損しているマウス (NFS/sld Rag2 KO) へのT細胞移入実験を行うことで、病態形成機序を解明する。 3.学会発表:上記の結果を踏まえ、日本病理学会、日本免疫学会等で発表し、論文化につなげていく。
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Research Products
(3 results)