2021 Fiscal Year Research-status Report
二階層細孔分布を有する炭酸アパタイト三次元多孔体の創製と生体反応の評価
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20K18576
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岸田 良 九州大学, 歯学研究院, 助教 (90823211)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アパタイト / 多孔体 / 気孔連通性 / 骨伝導性 / 生体吸収性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、炭酸アパタイトを組成とする三次元多孔体を作製し、気孔サイズが生体反応に与える影響を評価することを目指す。特に気孔サイズとして、細胞が侵入可能な連通気孔(数十μm~数百μm)および表面積を向上させる微細粗面(数百nm~数μm)の二階層細孔分布を有する多孔体を検討する。 前年度に多孔体作製法の検討が概ね終了したため、本年度はこれらの知見に基づき材料評価および一部のin vitro試験、およびin vivo試験を行った。主に気孔連通性の評価を重点的に行った。連通気孔の導入法として、硫酸カルシウム半水和物顆粒を異なる量の水と反応させる方法を用いたところ、結晶成長部位を制御し、気孔連通性の異なる多孔体を得た。得られた多孔体を水銀圧入法で評価したところ、微細気孔は一定に保ちつつ連通気孔サイズ(および連通気孔体積)の異なる二階層性細孔分布を得ることに成功した。生体内環境を模倣したin vitro溶出試験をカルシウムおよびリンについて実施したところ、連通気孔サイズ(14 μm、29 μm)は溶出量に影響を与えないことが明らかになった。また、気孔連通性のin vitro評価として、骨芽細胞様細胞の細胞侵入試験を実施したところ、連通気孔サイズの大きな(29 μm)多孔体には細胞が材料内部に侵入し、少なくとも3 mm厚のブロック底面まで細胞が到達していた。一方、連通気孔サイズの小さな(14 μm)多孔体は材料内部に細胞が侵入せず、材料表面局在的に増殖する挙動が観察された。In vivo評価としてウサギ大腿骨欠損に両材料を埋入したところ連通気孔サイズの大きな(29 μm)多孔体の気孔内部には埋入後4週で新生骨が全域で見られ、連通気孔サイズの小さな(14 μm)多孔体の気孔内部の新生骨量は限定的であった。さらに埋入後12週で材料の骨への置換が進行し、連通気孔サイズの大きな(29 μm)多孔体については骨置換が高度に進行し、材料と骨との界面が曖昧になっていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
目標とする材料の作製、材料評価、in vitro評価を実施し、期待通りの結果が得られたため。また、今後のin vivo評価等の準備が十分にできているため。
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Strategy for Future Research Activity |
In vivo評価を含め、材料の微細粗面が生体に与える影響を解明する。
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Causes of Carryover |
予定していた検討事項が予定よりも効率的に進捗し、必要な試薬等の購入費が計画時よりも少額となった。次年度以降に残額分を材料の生体評価項目に充て、可能な範囲内でより有効な知見の獲得に臨む。
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Research Products
(3 results)