2020 Fiscal Year Research-status Report
口腔内から採取したヒト組織幹細胞培養上清を用いたパーキンソン病への再生開発
Project/Area Number |
20K18582
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
高橋 悠 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 講師 (90779802)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヒト組織幹細胞 / 培養上清 / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、歯科領域で採取したヒト組織幹細胞(頬脂肪体由来幹細胞と歯髄幹細胞)の培養上清を使用した新規の神経再生療法を開発することである。対象として、パーキンソン病への検討を考えている。パーキンソン病は、中脳にある黒質のドパミン性神経が変性して脱落するために線条体でドパミン不足をきたし、錐体外路性運動障害が出現する神経変性疾患で、現在は薬物による対症療法が主な治療法である。そのため、根本的な治療法として細胞移植療法の検討が進められている。申請者は、細胞源として、発生学的に神経堤由来の細胞が多い歯科領域から採取可能なヒト組織幹細胞を用いて検討した。その結果、ヒト頬脂肪体由来幹細胞から分化誘導した神経系細胞をパーキンソンモデル動物の脳内神経変性部に移植し、機能的・組織形態学的回復を認めた。この機能改善には、移植細胞自体の働きだけでなく、移植細胞から分泌された成長因子の役割が大きく働いていると考えており、今回歯科領域から採取可能な組織幹細胞の培養上清を用いたパーキンソン病治療が可能であると考え、将来的に臨床応用可能な治療法として、細胞を使用しないヒト組織幹細胞の培養上清を用いる方法を検討した。 まずは、ヒト組織幹細胞の培養上清の性質評価が必要であり、同時に培養上清の確実な採取を要する。そのためヒト歯髄幹細胞の培養上清の採取を確実に行い、毎回同様の性質の培養上清が採取できるように検討をすすめている。また、ELISAにてVEGFなどの成長因子が通常の培養液よりも多量に存在していることがわかっている。今後は、さらなる性質解析とその培養上清を用いた動物実験を計画する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト組織幹細胞からの培養上清は採取可能であるが、同様の性質のものを毎回使用できるように細胞培養をすすめていくことにやや時間がかかっている。とくに、ヒト歯髄幹細胞の利用をすすめているが、個体差があり、性質評価を困難にしている。
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Strategy for Future Research Activity |
各組織幹細胞より個体差なく培養上清の採取を行えるように検討を重ねる。また、ヒト組織幹細胞の培養上清だけでなく、そこから採取されるエクソソームが、パーキンソン病の治療に効果のある因子を含んでいる可能性を考え、ヒト組織幹細胞のエクソソームを採取して、性質解析や動物実験を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
実験に遅れが生じていることから、必要物品の購入が次年度に引き継ぎになっている。次年度は、各幹細胞から同様の性質の培養上清やエクソソームの採取を行えるように繰り返し検討を行うため、必要試薬や器材の購入を計画している。
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