2021 Fiscal Year Research-status Report
高品質DFAT細胞調達法の開発に向けたセノリティック薬と抗老化薬の応用
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20K18587
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
笹山 智史 大阪歯科大学, 歯学部, 講師(非常勤) (50865821)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
均質で膨大な量の細胞の確保は、今なお再生医療の発展における足かせとなっている。組織採取が容易な脂肪に起源を持つDFAT細胞は、骨髄由来間葉系幹細胞(BMSC)同様に増殖能に優れ、免疫抑制効果を持つ事から、新たな細胞ソースとして期待されている。しかし、再生医療に耐えうるだけの十分な細胞数を確保するには、他の細胞同様に長期間の細胞培養が必須となる。一般的に、細胞は長期間培養されると複製老化がおこり、細胞機能(増殖能、分化能)が衰える。また、近年老化した細胞は、炎症性物質等の細胞老化関連分泌形質(SASP)を分泌し、周囲組織に傷害を及ぼす事が明らかになっている。将来的なDFAT細胞の安全な利用に向け、老化DFAT細胞の詳細な特性評価、抗老化処理、あるいは老化細胞の効率的な除去方法の開発が求められていた。本研究では①細胞老化前後の脱分化脂肪細胞(DFAT細胞)の特性評価や、②骨再生を増強させる効果的な老化細胞の減少・除去方法の探索を通し、幹細胞治療の礎となる基礎知見の収集を目指す。具体的には、ラットDFAT細胞の複製老化時の形状、増殖能、細胞老化関連分泌形質(SASP)分泌、骨芽細胞分化挙動を精査する。更に、抗老化処理前後の細胞をラット顎裂モデルに埋入し骨形成能の比較検討を行い有効性を調査する。本年度は、昨年度に続き、DFATの採取、継代数を重ねた細胞の老化挙動の確認を主に行った。その結果、複数の老化マーカーで細胞老化を確認した他、細胞老化が進むのにともない、骨芽細胞分化能が低下することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りDFATを採取し、複製老化により老化挙動を示すことを確認したため。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたDFAT細胞を用いて、計画通り抗老化・老化細胞除去の最適条件探索に移る予定である。また、細胞播種担体の作製、動物実験モデルの準備を進める。
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Causes of Carryover |
予定していた細胞老化確認実験の最適化で時間がかかったことから、一部を来年度にまわしたため。
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