2020 Fiscal Year Research-status Report
腸管への口腔細菌異所性定着リスクを高める口腔マイクロバイオームの同定
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20K18808
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
影山 伸哉 九州大学, 歯学研究院, 助教 (90822495)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 口腔マイクロバイオーム / 腸管マイクロバイオーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、検体採取ならびに直腸温プローブを用いた腸管マイクロバイオーム解析についての検討を行った。九州大学病院において全身麻酔管理下の手術を行った患者から、直腸内に挿入されていた直腸温測定用のプローブの先端約5cmを切断して採取し、予めバッファーを入れた2mlチューブに回収した。回収したプローブからビーズ法を用いてDNAを抽出し、PCR法にて細菌16S rRNA遺伝子のV1-V2領域を増幅した。プライマーにはサンプル識別用の8塩基のタグ配列を付与した8Fと338Rを使用した。次世代シークエンサーのIon PGMを用いて得られた増幅断片の塩基配列を解読し、各検体に含まれる細菌構成を明らかにした。その結果、各検体においてBacteroides、Lachnospiraceae、Enterobacterなどが高い比率を占めていた。これらの細菌は、過去の研究でも腸管マイクロバイオームを構成する細菌として報告されており、直腸温プローブを用いて腸管マイクロバイオーム解析が可能であることが確認できた。一方、Human Oral Microbiome Database (HOMD) を用いて腸管マイクロバイオーム中の口腔細菌を調べたところ、Streptococcus anginosusやParvimonas micraなどの口腔細菌が一部の検体から検出され、高い比率を占めていた。また、これらの口腔細菌の合計比率が一部の腸内細菌の構成比率と有意に逆相関していた。このことから、腸管に到達する口腔細菌と腸管マイクロバイオームとの間に関連がある可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は直腸温プローブ検体の採取を行い、それを用いて腸管マイクロバイオーム解析が可能であることを確認した。また、腸管マイクロバイオームから口腔細菌が検出されることも示唆された。一方で、COVID-19の影響から検体数の確保については不十分であったことから、全体の達成度としては「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は直腸温プローブ検体と口腔検体の採取を進め、十分な検体数を確保する。また、ロングリードシークエンサーのPacBio Sequel Ⅱを使用して細菌 16S rRNA遺伝子の塩基配列を高精度に同定し、口腔マイクロバイオームと腸管マイクロバイオームの関連について詳細に検討する。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により病院での検体採取が滞ってしまったため、ロングリードシーケンサーの大規模運用には至らず次年度使用額が生じた。
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Research Products
(7 results)