2023 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of neural mechanism for enthesopathy
Project/Area Number |
20K19385
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Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Principal Investigator |
佐藤 洋介 東北福祉大学, 健康科学部, 講師 (20704381)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 上腕骨外側上顆炎 / 経頭蓋磁気刺激 / 半球間抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、慢性疼痛患者では筋骨格系だけでなく脳機能にも変化が生じ、慢性化の要因となっているという仮説を基に、慢性の上腕骨外側上顆炎患者の脳機能を経頭蓋磁気刺激装置を用いて評価し、肘関節の痛みと関連性を検討した。その結果、患者群では半球間抑制の指標として評価したIpsilateral Silent Period (iSP)、特に右半球からのiSPが健常群と比較して有意に増加していた。この変化は更なる痛みを予防するための適応的変化と考えられた。しかしながら、この有意に増加していたiSPは質問紙で評価した痛みの程度と相関を認めなかった。唯一、相関を認めたのは半球間抑制バランスの指標として右半球のiSPを用いて左半球のiSPを正規化したものと痛みであった。すなわち、慢性上腕骨外側上顆炎患者では、左半球からの半球間抑制と比較して右半球からの半球間抑制が強くなるほど痛みが強いという傾向を示した。半球間抑制は加齢によっても変化することが知られているが、年齢を共変量として解析しても有意な相関を認めたので、この半球間抑制バランスの変化は痛みによって生じた可能性が示唆された。 本研究は横断的研究であるため、脳機能の変化と痛みの因果関係を明らかにすることはできない。また、筋や腱、骨といった組織の病変を評価していないことも限界として挙げられる。将来の研究として、筋骨格系の評価を含む縦断的研究が必要である。
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